日本百名山「槍ヶ岳」(東鎌尾根経由)

◎2015.8.12(Wed)-8.14(Fri) 天気:8/12 晴れ 8/13 雨 8/14 雨後晴れ 気温:—

◎コース:

  • 一日目 05:22上高地バスターミナル-06:16明神-07:31徳沢-08:35横尾-09:51一ノ俣-10:36槍沢ロッジ-12:14大曲-13:49水俣乗越-15:46ヒュッテ西岳(行動時間:10時間24分)
  • 二日目 06:52ヒュッテ西岳-07:38水俣乗越-09:48ヒュッテ大槍-10:05殺生ヒュッテ(行動時間:3時間13分)
  • 三日目 06:48殺生ヒュッテ-07:21槍ヶ岳山荘-07:49槍ヶ岳山頂08:05-08:38槍ヶ岳山荘-08:52殺生ヒュッテ09:32-09:49坊主岩小屋-10:29天狗原分岐-11:12大曲-11:58槍沢ロッジ-12:54一ノ俣-13:42横尾-14:57徳沢-16:25明神-17:21河童橋(行動時間:10時間33分)

*延べ行動時間:24時間10分

◎標高差:約1680m


*ログは手入力

今回は、N坂氏、S澤氏及びKと共に、予てより計画していた槍ヶ岳へ向かった。
予定のルートは「北鎌尾根経由」というものであったが…。

一日目

05:22上高地バスターミナル

上高地バスターミナル

私とKの二人で、上高地バスターミナルに降り立った。
N坂氏及びS澤氏の二人は、既に上高地に入っており、07:00明神待合わせの予定だ。

途中、明神岳の荒々しい姿が、青空にくっきりと浮かび上がっていた。
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06:16明神

明神

約束の時間より、かなり早くなってしまったが明神に着いて待合わせの両名の姿をキョロキョロと探した。
二人の姿は明神館の中にあった。
両名共、昨夜はここに泊り、今は朝飯を食っている最中だ。

私たちも明神館の中に入り、さっそく打合せを始めた。
打合せの内容は、予定日をどのように行動するか?というものだ。

山行の予定は、二泊で北鎌尾根をやつっける、というものであった。
一応、予備日として一日は考えており、それを入れれば三泊ということになる。
天気予報によると、二泊三日中、天候に問題ないのは、初日である今日だけということになっていた。
明日以降、台風13号の残りかすみたいな低気圧が日本海側を通過し、そのあおりで全国的に天気がよくない。
悪天の中、まさか北鎌尾根に向かうわけにもいかず、私は中止又は計画変更にするべき、と考えていた。

さてさて…。

悪天、って言っても、ピンからキリまである。
小雨程度なのか?雷雨なのか?
風は強いのか?弱いのか?
皆、あっちこっちから天気予報のデータを持ってきて、色々談じた。
天気の予報は発表元によってかなりバラついており、雷雨と報じているところもあれば、曇りと報じているところもあった。
そうはいっても、山の天気の話しだ。
まず、悪い方でみておいた方が手堅い。
大体、バリエーションルートである北鎌尾根は長丁場であり、しかも、尾根に乗っちゃえば森林限界上が続く。
万一、雷でも鳴ろうものなら、途中に逃げ道は一か所もない。
そんなことで、小雨だろうが雷雨だろうが雨予報である限り、私は北鎌尾根を諦めていた。

結局、北鎌尾根は保留、となった。
代案として穂高が持ち上がっていたこともあり、とりあえず、横尾へ向けて歩くことにした。
ここで議論していて時間を無駄にしても仕方なく、横尾までの間に結論を出すことになった。

この辺りの問題は、やはり、明確な上下関係がないパーティー登山ならでは、といったところか?
単独だったら、このようなことで悩むことはない。
ややもすれば、登山の問題、ではなく、議論の問題になりかねない。
議論の問題となれば、結局は声が大きい者の意見に傾く。
又は、多数決、ってこともあり得る。

07:31徳沢

徳沢

08:35横尾

横尾

棚上げになっていた目的地は、横尾に着くまで間に方向性がでていた。
「北鎌尾根」という目的は捨てず、水俣乗越へ向う。
しかし、北鎌尾根へのアプローチである北鎌沢出合には降らず、今晩はヒュッテ西岳に泊まり、明日、明後日の天気を伺う。
天気予報が良い方向に変化すれば北鎌尾根へ向う、という作戦だ。

要するに、北鎌尾根は保留、ということに変わりはない。

皆、横尾で下界の用事を済ますべく、電話だのメールだのスマートフォンを弄りだした。
私の電話はauだが、横尾以降、不通。
ソフトバンクはギリギリ通じた。
ドコモの通話環境は大したものだった。
今回のルート中、一度も電波が途切れることがなかった。
私も下界の用事を済ますべく、Kのドコモを借りて電話をした。

09:51一ノ俣

一ノ俣

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10:36槍沢ロッジ

槍沢ロッジ

上高地からここまでの15km近くある長い距離、ストックを両手に握り、推進力を得てここまで来た。
これが原因か?股関節が痛くなってしまった…。

12:14大曲

大曲

大曲手前辺りで、登山道整備の職人さん達が汗を掻いて作業をしていた。
休憩時なので、雪渓の氷で頭を冷やしている職人さんもいた。

さて。
長い道のりだったが、ようやくここからまともな登りが始まる。
我らもここから大汗掻きつつ、東鎌尾根に這い上がった。

13:49水俣乗越

水俣乗越

ここは、表面上はT字の交差点だが、密かな道が一本伸びており、十字路である。

密かな一本の道とは、北鎌尾根へのアプローチである天井沢へ降る道だ。
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取付きの傾斜はきつくザレており、進入するのを躊躇させられる。
今日は持参していないが、チェーンスパイクがあると安心かもしれない。

今の私たちの目標は、ヒュッテ西岳だ。
水俣乗越で休憩した後、東鎌尾根を東進した。

北鎌尾根。
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途中、北鎌のコルから山頂までスッキリと望むことができた。

独標から山頂まで。
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北鎌尾根もさることながら、東鎌尾根もなかなか険しい道が続く。
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東鎌尾根全景。
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水俣乗越から西岳よりの稜線も「東鎌尾根」と呼ぶのかな?
それとも、喜作新道と言った方が適当かな?
まあ、細かい話はいいか。

もし、東鎌尾根が整備されていなかったら?
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たぶん、北鎌尾根に負けず劣らずの難ルートだと思う。
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水俣乗越以降、私はバテた…。
ずっと先頭を歩いていたが、N坂氏に先を歩いていただいた。

15:46ヒュッテ西岳

やっと着いた…。
私が小屋に着くと、N坂氏とKは小屋に入り、宿泊の相談をしていた。

私は屋外に設けられているベンチに座り込んだ。

屋外には他、15~16名のパーティーが屯っていた。
どうやらツアー登山の一群らしい。
ツアー登山の面々の物腰は、厳つい。
ご年配の方ばかりだったが、ヘルメット、ハーネス、カラビナ、スリング等々、装備していた。

常念岳等蝶ヶ岳等望みつつタバコを吸っていると、N坂氏が小屋から出てきた。
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N坂氏の口から出た言葉は意外なものだった。

”泊まれない”
”え~!”

小屋からは、”予約はしたか?今日はいっぱいだから、次の小屋に向かってほしい”と言われたそうだ。

…。

繁忙期の山小屋と言えば、一枚の布団に三人寝かせる、といわれるほど詰め込む。
過去には私もそのような状況で寝たことがある。
これは、悪くとれば「営利主義」となってしまうが、登山者を雨曝しにしない、という不文律というか?美徳というか?そんなものがそこにはあると思っていた。
そんな私の常識から、”泊まりたい”と言って、まさか、断られるとは夢にも思ってみなかったわけだ。
しかし、泊めたくないものは仕方ない。

別にいいさ。
こっちは北鎌沢出合で寝る為の装備がザックに入っている。
ツエルトに包まって寝れば、寝れないことはないだろう。
気になっているのは、気温と、いつ雨が降り出すか?
それだけだ。
この標高で外で寝るにはシェラフが要るな、と思ったが、あいにく、皆、シェラフカバーを持ってはいるが、シェラフを持っているのはS澤氏のみだった。
”じゃ、とっととテン場へ行こう”と考えていた時、Kが小屋から出てきて、”今、調整しているからちょっと待て”とのことだった。

結局、小屋には泊まれた。

小屋は狭い。
所謂、談話室みたいなものはない。
自分の居場所は自分が寝るスペースしかない。
そのスペースすら、隣に別組が居り、ベチャクチャ喋るのは憚れた。
あまりの狭さから、寝る場所には自分のザックすら持ち込めず、別に”ザック置場”が設けられていた。
私たちは、そのザック置場を談話室の代わりにして話をしていた。

飯を食い終わると、食堂を追い出される。
その後、例のザック置場に移動しチョロチョロ酒を飲んでいたが、居場所も無いので19:00には寝た。

二日目

05:00頃起床。
建物を叩く雨音が耳に入った。
眼球が圧迫されるような痛みがある。
毎度のことだが、夜中に起こされるほど酷くはないものの高山病の症状が出ている。
雲を足で踏むような感覚で、フラフラと立ち上がった。

さて、北鎌尾根。
私たちのスケジュールを考えると、北鎌尾根を登るなら今日中に北鎌沢出合に向かわなければならない。
あわよくば、北鎌のコルまで這い上がっておきたい。
それを許す天気予報か?ドコモを持っているS澤氏とKに天気予報を見てもらった。
確認した天気予報は相変わらず不安定で、予報各社まちまちなものであった。
私は、予報はまったく当てにできないと思った。

大体、今日の天気。
昨夜の予報では、今日は午後より雨、と予報されていたが、朝から雨が降っている。
この調子でいけば、今日は一日雨、ということになるだろう。
雨っていっても、霧雨ではない。
きっちり雨が降っており、この雨の中、ツエルトで寝れば大浸水間違いない。
これでは、北鎌沢出合どころか、整備されている東鎌尾根ですら難渋しかねない。
雷も怖い。
私はこの時点できっぱりと北鎌尾根を諦めた。
更に、”私は今日山を降りますよ”と皆に告げた。
下山するなら、雷の心配が少ない午前中までに大曲まで降るべきだ、と思った。
明日の天気だってどうなるか分からない。

しかし、ちょっと待てよ…。
明日の予報は曇り又は曇り一時雨。
私たちの予備日である明後日の予報は晴れ。

どの道、今日は一日雨は間違いないだろう。
しかし、明日はこの雨の原因である低気圧は、北アルプスから東へ抜ける。
つまり、天候回復の確率が高い。
であれば、今日一日、どこかの小屋で停滞すれば、北鎌尾根経由は難しいとしても、晴れの中、槍ヶ岳を登れる可能性があるのでは…?と欲が出てきた。

そんな提案を、改めて皆にしてみた。
皆、北鎌尾根経由が難しいことは分かっている。
皆に共通した問題は、今回の登山をどのように締めくくるかだけだった。
私の提案を、皆、受け入れてくれた。

06:52ヒュッテ西岳

ヒュッテ西岳

ガイドツアーの一群は、05:30には小屋を出て行った。
他のグループも出払い、残るは私たちだけだった。

私たちは、雨の中、東鎌尾根へ向う。
目標は、殺生ヒュッテ。
高所に弱い私の為に、槍ヶ岳山荘ではなく、多少でも標高の低い殺生ヒュッテにしてもらったのだ。
食欲がなく、朝、茶碗に半分ほど盛った飯を平らげるのに難渋した。

この時間で、雨降りだ。
さすがに寒い!
私のザックの中には、防寒着、と呼べるものはインナーダウンしか入っていない。
この雨降りの中、ダウンを着れば、30分ほどで濡れ雑巾のようになってしまうだろう。

動いていれば寒さから逃れることができるので、我慢しながら水俣乗越へと降った。
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07:38水俣乗越

水俣乗越

水俣乗越へと降る道すがら、先行する数パーティーが東鎌尾根を登っているのを望んでいた。
内、一組は、例のツアー登山の団体さん達だった。

ツアー登山の一群に追いついたのは、東鎌尾根最大の難所と思われる30mはありそうな長い階段の場所だった。
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ガイドさんは二名居た。
ここでロープをフィックスしようとしているところで、私たちは先行させていただいた。

”?”

確か、私たちより1時間半は早く小屋を出たよな?
ちょっと遅くない?
ざっくりだが、コースタイムの倍の時間を要していることになる。
ここは森林限界上の小ピーク上で、完全に雨曝しだ。
ただでさえ寒いのに、私たちより余分に1時間半、雨に打たれ続けていることにもなる…。
ここで何分停滞しているのか知らないが、今、またフィックスロープの設置で時間を食っている。
事故が起きない為のロープだが、”低体温症”という事故にならんかな…?

ツアー登山に参加する、ということは、このようなリスクも念頭に入れて装備を計画する必要があるようだ。
そんな一群を横目に、先へ進んだ。

09:48ヒュッテ大槍

ヒュッテ大槍

10:05殺生ヒュッテ

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今日の行動は、ここでお終い。
小屋に入り、早々とザックを下した。

小屋には個室が一部屋だけ設けられていた。
ヒュッテ西岳で痛い目にあったばかりだったので、”個室!”と思わず叫んだ。
しかし、今日は雨降りだ。
結果的には小屋はガラガラで、個室を確保するまでもない状況だった。

殺生ヒュッテは、ヒュッテ西岳と異なり快適だった。
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談話室ではストーブが焚かれており、私たちの冷えた体を温め、濡れた道具を乾かすことができた。
愛想がよく、親切な小屋番の方の余裕のある対応も私たちの心を和ませてくれた。

さてさて…。
今日のやることは、飯を食うことと、飲むことだけになったになってしまったので、そのようにした。
飲むだけ飲んで、その後、昼寝をした。

明日の天気は…?
もう気にするのは止めた。
念のため、天気図だけのぞいたが、ここまで来れば、明日の朝、起きて空を見るだけで十分だった。

さて、明日の作戦。
激戦区である槍ヶ岳山頂をスムーズに踏むべく、朝一で行動することにした。
具体的には、槍ヶ岳山荘の朝食時間であろう、05:00に山頂を踏むべく行動する。
その為には、殺生ヒュッテを04:00に出発する必要がある。
結果、起床時間は03:30ということになった。

結局、今日は一日雨。
雨が小屋を叩く音を聞きながら、20:00には寝た。

三日目

03:30スマートフォンのアラームが鳴った。
アラームを消すと、次に耳に入ってきたのは、雨が小屋を叩く音だった。
こんな雨降りの中、槍ヶ岳の山頂を踏む為にここまで辛抱してきたわけじゃない。
布団を抜け出すまでもなく、また寝た。

次に目が覚めたのは04:30頃だった。
未だ、雨は降り続いていた。
私は、のそのそと布団から抜け出した。

体が慣れたか?今日は昨日に比べれば高山病の症状は軽かった。
しかし、Kに言わせれば、まぶたが腫れ上がっていると言っていた。
元々、今日は04:00出発の予定であったので、昨夜、小屋の方から弁当を渡されていた。
眠い目を擦りながら、皆でそれを食った。
飯を食いつつ、S澤氏に気象庁のホームページを開いてもらった。
ホームページ中にある、「高解像度降水ナウキャスト」が見たかったのだ。
こいつは、一時間先までしか予測できないが、詳細な雨雲の動きを再現してくれる。
確認してみると、槍ヶ岳周辺は一時間以内に雨雲が途切れることはないが、その後に続く雨雲はない。
二時間先には、雨雲が切れそうな雰囲気であった。
それを見て、出発は07:00。
山頂着は08:00と計画を立て直した。
これだけ遅い時間であれば、槍ヶ岳山荘の宿泊者の槍ヶ岳登山は一巡し、又は下山へと取り掛かっているだろう。
また、更に時間が経過することで、山頂に着く頃には、更なる天候の回復が期待できる。

その後は、皆、様々行動した。
コーヒーを沸かしたり、顔を洗ったり、タバコ吸ったり等々…。
って、全部俺のことか…。
適当なことをして、いい加減に時間を潰していた。
そうこうしている内に、昨夜、殺生ヒュッテに泊まっていた方々は、ほとんど出払ってしまっていた。

06:48殺生ヒュッテ

殺生ヒュッテ

先ほどまで降り続いていた雨は、降水ナウキャストどおり止んだ。
空に青いものが見え隠れしているほど天候は回復した。

荷物は小屋に預け、空荷で斜面を登る。
足は軽いはずなのだが…、息が切れる!

07:21槍ヶ岳山荘

槍ヶ岳山荘

小屋前には多数の登山者が屯っていたが、ほとんどが下山支度だった。
山頂へ向かう登山者はほとんどいない。
作戦は当たった!

未だガスでモヤがかかる槍先へ向かった。
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この槍の先っぽへ至る為には、私の勝手なイメージでは、40~50mはあるハシゴが付いており、それを黙々と登る、というものであったが、そうではない、とS澤氏に諭された。
そんな強烈なハシゴはかかっていない。
何段かに分かれてハシゴがかかっている。
途中、テラス状になっており、そこで休憩もできるそうだ。

なんだ…。
それこそ、ハシゴの途中では、ハーネス、スリングでセルフをとる必要があるのかと思っていたのに…。
実は、北鎌尾根の為にアクションカムを新調していた。
北鎌尾根に行かなかったので、アクションカムの出番がない。
”槍先へ向かう時こそ…!”アクションカムの出番と思っていたが、持っていくのは止めた。

とは言うものの、ここは槍の穂。
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ヘマすれば、ただでは済まないことには変わりない。

人が少ない、といっても、独占、というわけではない。
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この程度には登山者はいる。

これが最後の階段。
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S澤氏の言うとおり、ハシゴは小刻みに刻まれていた。

ハシゴ最上部より。
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ハシゴが設置されているから怖くない。
ハシゴがなければ…。
完全にクライミングだな。

07:49槍ヶ岳山頂08:05

槍ヶ岳山頂

私の槍の先っぽのイメージは、”後から人が登ってくれば、槍先にいる人はこぼれ落ちてしまうほどに狭い”というものであった。
現実の槍先は、私がイメージしていた広さよりかなり広く、イメージより倍ほど広いものであった。
ガスって下が見えないことも相まって、拍子抜けするほど恐怖感は沸かない。

山頂の祠脇にあるトレースを見た。
北鎌尾根経由で槍先に至る際に通るトレースだった。
トレースは、崖の下へ下へと延び、最後はガスの中に消えた。
傾斜角はかなりきつい。
オーバーハングになっていないだけマシ、という感じだった。

山頂に至っても、私が期待するほどには晴れ間は広がらなかったが、晴れまで要求するのは欲張りか。
それにしても、雨が止んで良かった。

雨が止んだおかげで、珍しいものを目にすることができた。
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ブロッケン現象。
これは、不吉の予兆とされていたかな?
山頂で雨に降られることはなかったが、少々、風が強く私は寒かった。

そんなことで、ほぼほぼ写真を撮り終えた皆に下山を促した。
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08:38槍ヶ岳山荘

槍ヶ岳山荘

08:52殺生ヒュッテ09:32

殺生ヒュッテ

殺生ヒュッテに戻り、朝、食い残した弁当を食った。
これだけ山に長居をすると帰るのが名残惜しいというか、面倒というか…?
面倒でも、”下山”という仕事をしなければならない。

帰りますか。
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09:49坊主岩小屋

坊主岩小屋

15年位前、槍ヶ岳を登ろうとしたことがある。
上高地から槍沢を経る普通のコースで。
時期は秋口。
その時は、晴れで日差しは強かったが、風は冷たく、強かった。
槍沢を登っていた私は暑くてTシャツ一枚で登っていたが、槍沢を抜ける冷たい風に散々、吹かれた。
夕方、槍ヶ岳山荘に着いたが、精魂尽き果てていた。
宿の受付を済ませ、速攻、布団にもぐった。
寒くて寒くて、体がガタガタ震えていたのだ。
思い返せば、低体温症になっていた。
夜飯を食うべく食堂へ向かったが、床が氷のように冷たく感じたのを覚えている。
食堂の座席についたものの、飯はろくすっぽ食えなかった。
寒いので、食事をほとんど口にせず、布団に向かい、寝た。
その後、朝まで布団の中で震え続け、いっこうに温かくなることはなかった。
朝起きると、高山病の症状まで加わり、体調は最悪…。
天気は雨で、天候も最悪だった。
”体調最悪、天気最悪で、こんなんで登っても仕方ない”と思い、山頂へ向かわず、そのまま下山した。
最悪だった体調は、今いる坊主岩小屋辺りまで降ると治っていた。

そんなことを思い出す。
結局、槍ヶ岳を登るのは15年越しになってしまった。
槍ヶ岳を登ろうと思えば何時でも登れたが、痛い目にあったので槍ヶ岳恐怖症だったかな?
なぜか?向かう山の選択に、槍ヶ岳は今まで入っていなかった。

10:29天狗原分岐

天狗原分岐

この時間になると、下からドンドンいっぱい登ってきた!
上にも書いたが、槍沢を歩くのは15年ぶり、ということになる。
15年のうちに、なんか変わった。
ヘルメット装着率はかなり高くなった。
というか、15年位前、山でヘルメットを被る人といえば、クライマーしか見たことがなかった。
あと、コンビニで売っているような透明ポンチョを纏う人たち…。

ま、楽しければいいか!

11:12大曲

大曲

え~…。
カメラのレンズに雨粒が付いておりますが…。

天気は、晴れまっしぐら!と思っていたが、そう甘くはなかった。
時折、本降り。
私が背負っている、ザックカバーのないザックは浸水した…。

槍沢キャンプ場。
槍沢キャンプ場

どうも、上高地エリアは新築ラッシュ。
槍沢キャンプ場では、トイレ(たぶん)を新築中だった。
たぶん、来期から稼働。

11:58槍沢ロッジ

槍沢ロッジ

12:54一ノ俣

一ノ俣

ここまで降れば、残すは緩斜面しかない。
というか、ほとんど平坦地しかない。
しかし、ここから上高地まで、約12.5kmある。
入山時は、まだ、いいんですが…。
下山時に、この距離はこたえる…。

13:42横尾

横尾

さて。
下界に戻ってこれた。
ここで再び、二日分たまった下界の用事を済ます。

14:57徳沢

徳沢

ここまで来ちゃえばもう、帰ったも同然だ。
そんなことで、徳沢園の洒落たレストランで納会をした。

ちょっとアルコールが入りまして…。
体が怠い。
私はストックを取り出し、この棒にもたれながら歩いた。

16:25明神

明神

”やっと着いた…”といった感じで明神に着いた。
あと、もうちょっと…。

17:21河童橋

カッパ橋

無事、帰還。

”なんか食いて~…”と売店をうろついた。
そんな中、コロッケの張り紙があった。
しかし、時間も時間。
既に売り切れ…。

その後、バスターミナルに移動した。
すると、まだ売店が開いている。
Kがのぞきに行くと、なんと!
通常1100円の弁当が300円で販売されていた。
閉店間際の超!特価だ。
Kは二個買った。
後、皆、弁当ご購入!
他、色々サービスしてくれた。
あんまり書くと店の迷惑になるかもしれないので、これ位にしておきます…。

山の虜になってしまった人のほとんどは、槍・穂高を登りたい!と望むんではないだろうか?
この両山は、一種、憧れというか、目標というか…?
まあ、ご多分に漏れず、私もその口の人間なわけです。
書き物の舞台でも、この両山はよく出てくる。
その舞台では、大抵は、この両山は”険しい”対象である。
容易には登れない対象。
人を死に追いやる対象。
そんな書き物の影響か?槍ヶ岳感、みたいなものが勝手に私の頭に擦り込まれているが…。
今回、槍ヶ岳を初めて登った。
これは、イメージ先行だった私の槍ヶ岳感のベールを一枚、一枚剥ぐような羽目になってしまった。

現実の槍ヶ岳は、容易に登れた。
怖くもなかった。
結果、私にとってアイドルかのような存在だった槍ヶ岳は、普通の山になってしまった。
槍ヶ岳に登って良かったのか、悪かったのか…。

容易に登れない対象、人を死に追いやる対象としての槍ヶ岳感を残す為には、やはり北鎌尾根経由であった方が良かったかもしれない。
それとも、北鎌尾根経由であったとしても、槍ヶ岳は私にとって普通の山となってしまっていたか?
いやいや…。
そんなことがあるはずがない。
槍ヶ岳山頂から望んだ北鎌尾根のトレースは、かなりの迫力だった。
北鎌尾根は、来年の宿題ということで。

残すアイドルは穂高!
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こいつをどうやってやっつけるか…。
まあ、登りたいルートは既に決まっているんですけどね。

本日は、さわんど温泉「梓湖畔の湯」にて入湯し、帰宅。

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