日本百名山「聖岳」(便ヶ島より聖岳、光岳周回)

山行記録

◎2014.8.17(Sun)~19(Tue)
天気:

  • 8/17:曇り後雨
  • 8/18:晴れ夜雨
  • 8/19:曇り時々雨(下界晴れ)

気温:12℃~29℃

◎コース:

  • 一日目:05:54便ヶ島-06:40西沢渡-09:08大木の広場-09:55苔平-11:27薊畑分岐-12:38小聖岳-13:58聖岳(前聖岳)山頂14:12-14:58小聖岳-15:44薊畑分岐-16:05聖平小屋分岐-16:09聖平小屋(行動時間:10時間15分)
  • ◎二日目:07:28聖平小屋-07:33聖平小屋分岐-08:35岩頭-09:44南岳-10:22上河内の肩-10:44上河内岳山頂-10:56上河内の肩-11:27奇岩竹内門-12:33畑薙分岐-12:45茶臼小屋(行動時間:5時間47分)
  • 三日目:04:51茶臼小屋-05:06畑薙分岐-05:26茶臼岳山頂-05:43仁田池-06:13希望峰-06:40鞍部-08:10易老岳-08:57三吉平-10:08イザルガ岳分岐-10:16県営光岳小屋-10:39光岳山頂-11:02県営光岳小屋-11:59三吉平-12:56易老岳-13:25 P2254-14:41平らな広場-15:21面平-16:44易老渡-17:02便ヶ島(行動時間:12時間11分)

*延べ行動時間:28時間13分
*赤字部分の山行記録を掲載しています。

◎標高差:約2120m

前回、ハードな平ヶ岳を登り自信を持った私は、更にハードルの高い聖岳、光岳の周回コースを登ることにする。

このコースの何がハードルが高いのか?
登山口から山頂までの標高差は2000mを超える。
二泊三日の行程中、内二日はどうやっても行動時間10時間を超えざるを得ない。
そもそも、昔も今も、単純標高差2000mを超える登山をしたことがない。
いつもの私であれば、初日に聖岳を登るだけで足は筋肉痛でやられてしまい、二日目の私の足は使い物にならない。
また、登山再開後に二泊三日の行程をこなしたことがない。

そんなことで、私にとっては未体験ゾーンに突入!ということになるわけですが、ここ数ヵ月、登山に執着しており、肉は充実している。
肉の充実を実感している私は、”まあ、なんとかなるだろう…”との予想の元、登山口へと車を走らせている次第です。

登山口である「便ヶ島森林公園キャンプ場」到着は、山行前日の22:30頃。
ここで車中泊をし、翌日に備える。

04:30起床。
就寝前の空には星が瞬いていたものの、起きると天気はイマイチ。
そう。
今日はそういう予報になっている。

時計の気温計で20℃。
ぼちぼち準備して出発。

一日目

05:54便ヶ島

便ヶ島

この広い駐車場に駐車しているのは、わずか二台…。

まずは、駐車場料金を支払うべく、「聖光小屋」に立寄る。
聖光小屋

玄関口に立つと、中から犬が吠える。
人が居る気配はあるものの、出てくる気配はない。
まだ朝早く、管理人さんを起こしては悪いので、料金の支払いは諦め下山時に支払うことにする。

さて、入山。
6033-4

出鼻の傾斜はきついが、すぐに緩くなり、道は沢沿いに進む。

その入口は、トンネル。
6033-5

抜けると、沢沿いに進む。
6033-6

途中、プチ崩壊数か所有り。
6033-7

落ち往く先はこちらとなります…。
6033-8

山頂方面を望む。
6033-9

まだ早朝故か?ガスが取れる雰囲気はまったくない。

06:40西沢渡

西沢渡

ここ数日、雨の日が多かった。

西沢を見下ろしますと…。
6033-11

濁流となっている。
この水量では、このゴンドラを使わないと対岸に渡れない。

このゴンドラの耐荷重は150kgまで。
つまり、体重65kgの人が10kgのザックを背負っていたら二人しか乗れないことになる。

で、ゴンドラに乗って対岸に渡った。
6033-12

ゴンドラを移動させるのは、一般的なロープを引くことでする。
そのロープは露に濡れたか?湿り気を帯びており、重い。
その重いロープを自らの手で引く。
これがまた…。
結構な準備運動となりました。
対岸に渡る所要時間は、概ね10分要する。

西沢渡を後にし、前進するとすぐ「造林小屋跡」がある。
6033-13

小屋裏に登山道が続いており、標高を稼ぐべく、ようやく傾斜がきつくなる。
6033-14

冒頭でもお話ししましたが、今回のルートは初日に聖岳を登ることを予定しており、これをするには標高差2000m超をやっつけなければならない…。
いや、私がやっつけられるか…?
便ヶ島-山頂間の標高差は約2030m。
登って終わりではない。
その後、聖平小屋まで降らなければならない。
山頂-聖平小屋間の標高差は、約750m。
更にその後、二日の行程が待っている。
要するに、本日のゴールである「聖平小屋」に到着した時点で、私の体力に余力が残っていなければ全行程に影響が出ることになる。

これを可能にするべく靜荷重を心掛け、足に極力負担をかけない。
コースタイムは欲張らない。
ストックに荷重をかけれるだけかけ、足の荷重を減らす。
この登り方で私の体の状態はどうなるか?
それを実験してみたのが、先週登った「平ヶ岳」ということになります。
平ヶ岳では後半、膝にガタがきましたが、更なる作戦はデポジット作戦がある。
山頂へ至るのに部分的にピストンになる箇所があり、例えば、薊畑分岐~聖岳山頂間がそうだ。
ちなみに、薊畑分岐~聖岳山頂間の標高差は約600mもあり、コースタイムで言えば約4時間要する。
この標高差600mの負担を減らすべく、薊畑分岐でザックをデポしてしまい、サブザックに必要最低限のものだけ積み行動する。
”ここまでやれば、大抵、なんとかなるだろう…”との目論見です。

09:08大木の広場

6033-15

「山と高原地図」によると、標高1800m辺りに「大木の広場」とされるポイントがあり、ここがそれと思われる。

09:55苔平

苔平

地名の如く、辺りは苔むしています。
6033-17

キノコもいっぱい生えている。
6033-18

食べられるか?は知らない。

この辺りで登りは半分終わった。
残り、1000m。

私が登るペースは遅い。
”息が切れない程度に…”と、意識しながら登っている。
”あと1000m、なんとかなっちゃうでしょ~!”

と、思いながらも急傾斜続く…。
6033-19

どの辺りからだったか?
1600m辺りからだったか?
前掲画像の如く、現在標高を示す道標有り。

更に登ると花が目立つようになってきた。

【クルマユリ】
クルマユリ

【シナノオトギリ】
シナノオトギリ

【ハクサンフウロ】
ハクサンフウロ

【トモエシオガマ】
トモエシオガマ

【マルバダケブキ】
マルバダケブキ

マルバダケブキの群生
6033-20

こちら斜面はお花畑で天国ですが、反対斜面を見下ろしますと…。
6033-21

”地獄だな…”
ガスって底まで見えないところがまた、地獄っぽい。
そんなことを思いつつ歩いていると、目の前が「薊畑分岐」だった。

11:27薊畑分岐

6033-22

”ようやくこのザックから解放される…”

ここは予定通りザックをデポし、聖岳山頂を目指すことにする。
6033-23

その途上は、お花畑が多い。
6033-24

前方に「小聖岳」と思われるピークを確認。
6033-25

途上、ロープが垂れている箇所が数か所有り。
6033-26

小聖岳直下。
6033-27

直下は傾斜が急なザレ。
6033-28

12:38小聖岳

小聖岳

小聖岳直下辺りから森林限界を超え、強風に晒されることになる。
強風は、時折、雨を含み寒さを増す。
強風の程度は、ストックの穂先を持っていかれるほどに強い。

一服入れた後、前進。
6033-30

今回予定している縦走路は、標高差、行動距離等きついはきついが、山並みとしては全般、穏やかなところが多く、危険なところは少ない。
しかし、小聖岳~山頂間だけは別だ。

アルプスの本領発揮か?プチ岩稜帯を進む。
6033-31

岩稜点景。
6033-32

岩稜点景。
6033-33

岩稜帯を抜けた後は、富士山のブル道の傾斜をキツクしたようなザレ?ガレ?が山頂まで続く。
6033-34

結構キツイ…。
小聖岳以降、標高が高くなってきていることもあり、登山口辺りから登って来た身からしてみると、明らかに空気が薄い感が濃厚で、息が切れる。

もう、山頂に着く。
6033-35

標高差2000mやっつけてやった…。
これで、登る作業からやっと解放される。

13:58聖岳(前聖岳)山頂14:12

聖岳(前聖岳)山頂

デポしたザックに時計を付けたままなので、気温の確認ができない。
相変わらずの強風で、陽射しもない。
体感的には、10℃は切っている。

これは、「奥聖岳」方面。
6033-37

眺望はない…。
それどころか、視界は20~30mほどか?
”ここまで来てこれか…”と思わなくもないが、しかし、2000mの標高差を登り切った達成感の方が強く、それほど残念な気分は湧かない。
”なんだ、できるじゃん!”
強い満足感に浸る。

山頂で休憩していると、雨がパラついてきた。

森林限界下に逃げ込むべく、下山開始。
6033-38

下山時は、登山道脇に咲いていた花を撮りつつ降った。
チシマギキョウ

チシマギキョウ。

【イワツメクサ】
イワツメクサ

【ホソバツメクサ?】
ホソバツメクサ

しかし、この傾斜はきついな…。
6033-48

すっころんだら、何mも流されるな。

【タケネヒゴタイ】
タケネヒゴタイ

【ウサギギク?】
ウサギギク

【タカネシオガマ】
タカネシオガマ

【ミネウスユキソウ】
ミネウスユキソウ

【イワツメクサ?】
イワツメクサ

花の写真を撮るようになってから、まるで道路に落ちてる10円玉を見つけるかのうように、足元を見ながら歩くようになった。
いつも何気なく(何も考えていない…)歩いている登山道だが、高山植物ってこんな岩の割れ目に根を張っているんだな~、と気付いた。
この生命力というか?逞しさというか?健気さというか?
ちょっとしたバランスが崩れたら、無くなってしまうんではないかという儚さというか?
やっぱり、自然は大事にせんといかんですな~、と月並みな言葉が頭に浮かぶ。

【イワベンケイ】
イワベンケイ

【ミヤマホツツジ】
ミヤマホツツジ

【ミヤマダイコンソウ】
ミヤマダイコンソウ

【イワウメ】
イワウメ

14:58小聖岳

小聖岳

雨は降ったり止んだりを繰り返していたが、ここにきて本降りの様相を示す。
早々に樹林帯に逃げ込む。

【マルバダケブキ】
マルバダケブキ

マルバダケブキの群生。
6033-51

【トリカブト】
マルバダケブキ

ほ~…。
これがあの有名なトリカブトか…。

【セリバシオガマ】
セリバシオガマ

【オヤマリンドウ】
オヤマリンドウ

マルバダケブキの群生②。
6033-56

【ハクサンフウロ】
6033-57

【ウメバチソウ】
ウメバチソウ

15:44薊畑分岐

薊畑分岐

デポしたザックを無事回収。

雨が降っていることもあり、そそくさと聖平小屋へと降る。
6033-62

16:05聖平小屋分岐

聖平小屋分岐

小屋へと続く道は木道が敷かれている。
6033-64

16:09聖平小屋

聖平小屋

やっと着いた…。

お盆時期は過ぎたが、小屋は繁盛している。
6033-66

この時期、この天候にも係らず、テント場は六割ほど埋まっていた。

さっそく受付を済ませ、テントを設営…したいのですが、更に雨は激しくなった。
ちょっと設営するには厳しいな。
幸い、小屋前の軒先で雨宿りはできる。
暫し、雨がおさまるのを待つことにする。
設営するのに30分は待ったか?
その間、荷物をまとめたり、小屋入口に置かれている「フルーツポンチ」を振舞われたり、時間を潰すことができた。
小屋のアルバイトの若者はイケメン風が多い。
その周りに、自然と若い女が寄ってくる。
ま、こっちは多少、目の保養にはなった。

雨足が衰え、チャンス!とばかりに設営に取り掛かる。
設営が完了したと同時に、また、雨が激しくなった。
雨に打たれつつ、その他の道具を片す。
最後に泥だらけのスパッツを外した。
そしたら、コロッと芋虫みたいなやつがでてきた。
よく見たらヒルだった。
お疲れ気味だった私は、”よかった~、ヒルに食われなくて”と、なぜか?思った。

テントに入り、濡れたパンツを脱ぐ。
すると…。
靴下が真っ赤に濡れていた。
いや。
既に乾燥し、靴下に大量の血がこびりついてバリバリになっており、血は剥がれなかった。
よく見ると、スネを食われていた。

更にもう一カ所…。
パンツのゴムが当たる腹辺りを食われ、やはり、血で染められていた。
こちらは、パンツのゴムが絆創膏代わりになったか?スネに比べれば出血は少なかった。
”そうだったか…”
ここまできて、ようやく思い至る。
ヒルが芋虫みたいになってたのは、俺の血で満腹だったからか!
あのヤロー…。
トドメを刺すのを忘れた。
雨の中、再度外に出てヒルが落ちた辺りを散々探したが、既に姿は無かった…。
諦めてテントに入る。

どこでヒルに憑りつかれたのか…。
まったく見当が付かない。
しかし、今日は一日中、湿った山の中を歩いていた。
どこにヒルが居てもおかしくない。
そういえば、小屋の掲示に”便ヶ島方面ヒル注意”って張り紙が貼ってあったな。

ヒルの件も精神的、対処的に一段落し、残る作業を済ますことにする。
まずは、ビール。
次は飯。
これらの作業を全て済まし、残る作業は寝るだけになった。

19:00頃就寝。

さて。
明日はどうするか?
できることなら、光岳小屋まで足を伸ばしたい。
そんなことで、目覚ましは03:00にセットした。

夜、激しい雨音で何度か目が覚める。

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