スポルティバ「ボルダーエックスミッドGTX」について(概要)

引退年月:2015.1
引退年月:2015.4
使用期間:約1年
引退理由:摩耗・損耗

今まで夏靴として履いていた、スカルパ「ゼログラビティ65XCR」。
いい加減ヘタレてきたので、夏靴を買い替えてみた。

日帰りハイクメインの私が夏靴を買い替えるにあたり、要求は二点。

  • 軽量
  • 岩場で滑らない。

”軽量”を満たす為に、”剛性”は妥協せざるを得ない。
よって、私の念頭にあったシューズは、

  • トレランシューズのミドルカット
  • アプローチシューズのミドルカット

更に、岩場のことを考えると、”アプローチシューズになるのかな?”という位の気持ちで、スポルティバ「ボルダーエックスミッドGTX」買ってみた。

スポルティバ・ジャパンによる、この靴に対する説明は、単に、

”ボルダーXのミッドカットモデル。基本性能はそのままでよりハードな使用を想定。GORE-TEX採用で、更に広いコンディションに対応した。”

となっているだけで、よく分からない。
しかし、本国サイトによる説明だと、かなり詳しく書いてある。
*参考:Boulder X Mid GTX(http://www.sportiva.com/)
興味のある方は、google翻訳ででも翻訳して見てみてください。

翻訳内容によると、このシューズは、

  • 晩春から夏にかけて最適(つまり雪上歩行以外?)
  • Vibram® X-Traction™ Idro Gripのアウトソールを採用
  • Mythosレーシングシステムを採用し、素晴らしいフィット感を提供
  • この靴は用途が広く、キックステップを刻み、大型パックでハイキングができ、テクニカルな地形を切り抜け、目的地に到達できる。

とある。

他、ゴアテックスインサート。
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Mythosレーシングシステム。
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これは一本の靴紐で、つま先から踵までのテンションを調節する仕組みのもので、これと似た仕組みの靴を以前に見たことがある。
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モンベル「サワーシューズ」(*参考:モンベル「サワーシューズロング」+「ウイックロン トレッキング ストリームソックス」について(概要)

この仕組みは、モンベルの説明によるとワラジ式とされているもので、踵まで締め上げることで、フィット感は向上する。
特に沢靴ということで水中での使用が想定されているので、水の抵抗があっても靴をカカトに追従させる為の仕組みと思われます。

スポルティバ「ボルダーエックス」について言えば、ローカットないし、ミドルカットということで、ハイカットと比べればカカトは浮きやすく、それを補う為の仕組み、ということになる。

Vibram® rubber randsと呼ばれるラバー。
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靴に剛性がない場合、荷重、例えば、重い荷を背負った時など、靴がフニャとよれ、足元が安定しなくなる。
このラバーが、靴を保護すると共に剛性を高めており、多少なりとも上のような症状を緩和してくれるであろう。

2mm La SpEVA。
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付属のフッドベッドは”2mm La SpEVA”と名付けられたもので、カッコいい。

裏面。
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その風貌から、なにやらフットベッドとして効能有り気な雰囲気を醸し出している。

実際、ペラペラなフットベッドではない。
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前掲画像は、スーパーフィート「トリムフィット(グリーン)」と比較したもの。
スーパーフィートの方が厚みを感じるが、これは、スーパーフィート特有の”スタビライザーキャップ”によるもので、ウレタン自体の厚みに差は感じない。

アウトソールについて

◎Vibram® X-Traction™ Idro Grip。
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”X-Traction™”とは?不明。
”Idro Grip”とは、想定用途のカテゴリーの一つで、”Idro Grip”の想定用途は、”Grip on wet”というもの。
*参考:VIBRAM「Compounds」
ドライとウェット、両面で平均より上回るグリップ力を発揮するらしい。
他、説明書きに色々書いてある。
例えば、クライミンググレードの数値でもって、想定している岩場の難度を示しており、それによると、初歩的なグレードに対応している様子。
また、素材の化合物まで記載がある。
まあ、私がそれを見てもよく分かりませんが…。

なお、アウトソールに要求される各性能について、以下のような形式で評価されています。

耐久性 ***
グリップ力 ****
硬度 ****

“*”4点満点?

◎ソールブロック形状について。
ソール全般に対する説明書きによると、

”SOLE: Vibram® Idro-Grip V-Smear™ Impact Brake System™”

となっている。

”V-Smear™”とは?不明。

たぶん、これがV字にえぐられているので、これのことを指しているのだと思う。
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このように、垂直面と斜めの面があるドットを交互に配している。
垂直面でもって何らかの突起に引っかかり、更にV字部分でも引っかかることでグリップ力を確保している。
この効果を、前後逆に、ランダムに配することで、登り降り両面において滑りづらいようにする仕組みと思われます。

Impact Brake System™とは、これ。
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スポルティバ「ボルダーエックス」では、踵部分に対してのみ採用されている。

このように、ブロックに傾斜を設け、出っぱったり、引っ込んだりしている。
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”スリップ”ということを念頭に置いた場合、このような凹凸がないソールでスリップすると、スリップの勢いがついてしまったソールのブロック面にしてみれば、ソールに溝があったとしても地面に対してソールは”面”で接するのと変わりなく、故に引っかかる部分は少ない。
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*クリックで拡大表示可。

しかし、凹凸があればスリップした際、点で引っかかりを作ることができ、故にスリップしにくい。
ただし、出っ張っている”点”部分については、相当ストレスがかかると思われ、摩耗も早いような気がします。

◎ソールの反りについて
靴に足を入れると、すぐ、つま先側が反っていることに気付く。
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ちょうど、親指付け根辺りから反っている。
これは、岩場などでつま先立ちになった場合、地面に対しソールの”面”で荷重をかける為の仕組みと思われます。

ゆる~くつま先立ち。
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接しているのは概ねこの面。
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この状態で、概ね、足指の根元辺りに荷重がかかっている。

きつ~く!つま先立ち。
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接しているのは概ねこの部分。
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この状態で、概ね、足指のみに荷重がかかっている。

チョー!つま先立ち。
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接しているのは概ねこの部分。
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この状態で、概ね、足親指のみに荷重がかかっている。

前記、3パターンで平面になるように、微妙にソールに傾斜が設けられている。

このように、どのようなつま先立ちになろうとも、地面に接するソールは面で接することになり、つま先立ちになった際の安定につながります。

靴型について

一般に、スポルティバのシューズは細身とされているようです。
しかし、”本当にそうか?”と感じたことがありましたのでご報告。

それは、これです。
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私が以前より所有している、スーパーフィート「トリムフィット(グリーン)」(加工無し、サイズ:E)と、ボルダーエックス(サイズ:44)に付属のフットベッドを重ね合わせてみた。

スポルティバのシューズが細身であるとするならば、もっとグリーンが見えるはず。

なお、こちらの画像は、今まで履いていたスカルパ「ゼログラビティ65XCR(サイズ:44)」のフットベッドとスーパーフィート「トリムフィット レッドホット(サイズ:E)」を重ね合わせたもの。
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*スカルパ「ゼログラビティ65XCR」付属のフットベッドは既に廃棄してしまった為、代用掲載。

スーパーフィートのレッドとグリーンと、商品は違うものの共にサイズ”E”。
同じメーカーのフットベッドなので、形状が違うことは無いであろう。

フットベッドの形状だけで判断できないが、これだけを見れば、細身というなら、スカルパの方がよっぽど細身だ。
スーパーフィートのサイズ”E”、とボルダーエックスのサイズ”44”のフットベッド形状は、”同じメーカーか…”と思わんばかりにピッタリマッチする。

ちなみに、スカルパとスポルティバのサイズは、いずれも「44(27.9cm相当)」。
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通常、私の靴のサイズは27cm位。
当然ながら、試し履きをして購入しており、サイズ44(27.9cm相当)で靴は私にフィットする。
これは、分厚い登山用ソックスを履いて試し履きをしていることによります。

その他

◎重量確認
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570g(*フットベッド、靴紐込)。

なお、スポルティバ・ジャパンのカタログ公称値では、約500g(基準サイズ不明)。
本国サイトでは508gで、やはり基準サイズは不明。

ちなみに、フットベッドの重量は30g。
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靴紐についても、フットベッドと同じ位の重量があるか?
とすれば、フットベッドと靴紐を除いて、ようやくカタログ値位の重量となる。

以前、スカルパのシューズについて確認した時も、カタログ値よりだいぶ重かった。
これはシューズ業界の慣習か?
重量を掲載する際、

*フットベッド・靴紐別

とか書いて欲しい。

◎価格について
本国サイトを見てしまいましたので…。
お幾らで販売されているか、見てしまいました。
そのお値段。

$160-

100円/$換算でいけば、16000円だ。

実調

先日登った、日本三百名山「七ヶ岳」の際、ボルダーエックスを履いてみた。

ルートは滑沢を遡上する。
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”滑りやすい”という意味では、絶好のコンデションだったわけですが、登りでは安定しており、素晴らしいグリップ力を現す。

降りはさすがに、モンベル「チェーンスパイク」を装着。
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チェーンスパイクを装着することにより、強力なグリップ力を発揮する。
言い方を変えれば、靴に対して強力な荷重が加わり、剛性感や安定感を問われるシチュエーションである。
ボルダーエックスはミドルカットということで、足首は固定されておらず、ハイカットのシューズと比べれば剛性感、安定感が劣ることは否めない。
特に、横ずれについて、それは顕著になる。

そうは言っても、当日は日帰り装備で荷が軽く、然程問題とは感じなかった。
しかし、テント泊装備で荷が重くなると分からない。

他、雪面上も歩行した。
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当日、朝方の気温は麓で15℃位。
谷に堆積した圧雪で、上っ面はシャーベットだが、芯は固い。
そんな雪の上を、キックステップを刻みながら登る。

意外に?ソールはフニャフニャではなく、剛性感があり、キックステップを刻むレベルでは問題ないと感じた。

その秘密は、ハイキングシューズやトレランシューズと異なり、2mm厚のポリプロピレンのシャンクがソールに内蔵されていることによる。
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*クリックで拡大表示可(「ローカットモデル」のカタログ)。
*参考までに、スポルティバの売れ筋「TRANGO S EVO GTX」のシャンクは7mm厚で鋼を含む。

2mm厚で、鋼等が含まれいるわけではなので、ガチガチに固いわけではない。
しかし、ソール全面、このシャンクでカバーされている。
このシャンクのお蔭で、前記、チェーンスパイク装着時や重い荷を背負うシチュエーション、更には、岩場でつま先のみに荷重がかかるようなシチュエーションでもソールは荷重負けしにくくなる。
少なくとも、シャンクが入っていないシューズと比べれば、相当、改善されるはずです。

ショップでお試しあれ!

*スポルティバ「ボルダーエックスミッドGTX」の用途は、あくまで”アプローチシューズ”です。

カタログデータ

ボルダーXのミッドカットモデル。基本性能はそのままでよりハードな使用を想定。GORE-TEX採用で、更に広いコンディションに対応した。
【アッパー】スエードレザー
【ライニング】GORE-TEX
【ソール】ビブラム インパクトブレーキシステム
【サイズ】36~47
【重さ(1/2ペア)】約500g
【価格】26,000円(税別)(*スポルティバ「ボルダーエックスミッドGTX」の最新相場はこちら

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