スマートフォン登山用GPS化計画(「地図ロイド」+「山旅ロガー」(ログ記録誤差確認))

スマートフォン「登山用GPS化計画」第三弾は「ログ記録状況」の確認。

冒頭の図は、先日登った鳳凰山の山行の際記録したGPS専用機とスマートフォンのログをカシミール上で重ね合わせたものです。

赤のラインがスマートフォンによるもの。

青のラインがGPS専用機によるものです。

実験機等、比較材料の設定内容は、

1.スマートフォン

  • 機種:ドコモ「REGZA Phone T-01C」
  • 使用アプリ:山旅ロガーGOLD(Ver.2.6)
  • 測定モード:徒歩
  • 測定間隔の距離:50m

2.GPS専用機

  • ガーミン「オレゴン450TC」
  • GPSモード:標準
  • 記録方法:自動
  • 記録間隔:低

まずは、冒頭の図をベースに位置情報のズレ度合いを確認してみたいと思います。

電波の受信状況を確認する環境として、前回登った鳳凰山は絶好の環境だった様子で、意図していたわけではなかったのですが、位置情報のズレを確認するにおいてバリエーション豊富なルートとなりました。

まずは、以下の図をご参照ください。
概念図
今回のルートは大きく3つのパートに分けることができ、

  1. 山中ではありますが、尾根上で比較的遮るもののない中道コース
  2. 360℃遮るものがなく電波受信する上で最高な環境の稜線
  3. 沢スジルートで、電波受信がし難いドンドコ沢コース

となります。

掲載の図のとおりなのですが、中道コース、稜線については、スマートフォン、GPS専用機の軌跡がほぼ重なっています。

特に稜線上は見事に一致しており、良好に電波を受信していた経緯が見てとれます。

ドンドコ沢コースについては、軌跡のズレの幅が大きくなっており、この軌跡のズレは”スマートフォンが受信した軌跡がずれているのか?”又は”GPS専用機の軌跡がずれているのか?”図上、①~④の場所について細かく検証してみたいと思います。

場所①

①拡大

これは、五色滝を見物する為に滝壺まで降りた時の記録です。

滝を撮影するべく、ザックを登山道上に置きっぱなしにしていました。

両GPS共ザック内にあり移動させていないので、スマートフォン(赤ライン)は軌跡の誤差が大きいようです。

場所②

②拡大

ここでは、白糸滝を見物するべく”展望コース”へと道をかえた所です。
スマートフォン(赤ライン)では、沢まで降りるような軌跡になっておりますが、現実の移動はGPS専用機(青ライン)の軌跡のように移動しています。
場所①、②共に、近くに滝があるので、周囲が囲まれたような空間になっており、電波受信という意味では最悪な場所です。
このように極端な場所だと、GPS専用機か否かで、能力の差がハッキリでてくるようです。

場所③

③拡大

この場所は、斜面をトラバース状に歩く比較的高低差のない所です。
現実の行動は、GPS専用機(青ライン)のように歩いております。

場所④

④拡大

この場所に砂防ダムがあり、ダムの堰の上をドンドコ沢沿いまで進み、ドンドコ沢の写真を撮影しようとした所です。
GPS専用機(青ライン)のように、沢へ向かったのですがスマートフォン(赤ライン)では軌跡が追い付いてきておりません。

位置情報のズレ状況については、ザッと以上です。

次は、ログ記録状況について確認します。

実験機 ログ記録時間 ログ取得総数 ログ取得間隔
ドコモ「REGZA Phone T-01C」 11時間50分 705ポイント 60.4秒/1ポイント
ガーミン「オレゴン450TC」 11時間44分 2936ポイント 14.3秒/1ポイント

*ドコモ「REGZA Phone T-01C」のデータについては、GPS測位を停止するのを忘れて青木鉱泉へ入浴しに行ってしまった為、その分を考慮しデータを補正しています。

ログの細かさでいえば、比較にならない程GPS専用機が密であることが確認できます。

ログ取得間隔の自動調整について

「山旅ロガー」は、オートで取得間隔を調整しています。
調整内容は、移動停止時やGPS測位に失敗した場合、ログ取得間隔が長くなります。

なお、ガーミン「オレゴン450TC」についても、記録方法を自動に設定すれば、オートでログ取得間隔を調整しています。
この場合、調整方法は不明ですが、データ上、移動速度や時間によってログ取得間隔に変化が見られることから「山旅ロガー」と同様の調整をしている様子です。

総括

スマートフォンの位置情報のズレについて、冒頭において細々述べましたが、全般、目くじら立てるほどのものではなく、意外に正確だったと思わずにいられません。
GPS専用機ではないので、機能的におまけといえばおまけの部類と思うのですが、前回ご報告した”富士フィルム「FinePix XP30」”のGPS機能の不甲斐なさに比べれば上出来。
しかも、通信機能をシャットダウンしているので、基地局による補正無しのデータです。
掲載の図や、ログ取得間隔上、データが荒くなっている面はありますが、あくまで”現在位置の確認”や”ヤマレコへ移動軌跡を掲載したい”位で利用するのであれば問題ないと感じます。

また、スマートフォンで撮影した写真に位置情報を付加させることができます。
”画質が・・・”と拘らず、位置情報優先という方には”富士フィルム「FinePix XP30」”より、使い勝手はかなり良いです。

あとの課題は、
①耐寒性能
②電池持続力
③雨中での使用
④通信機器とGPSの併用が安全登山上の観点から許容されるのか?
⑤スマートフォンについての知識が必要で取っ付きにくい

と、いったところでしょうか?

①~③については、スマートフォンはあくまで、スマートフォンであり、当たり前ですがGPS専用機と同等の使い勝手を求めるのは、酷かな?と思います。

④については、併用することにより紛失や故障、電池切れ等、併用しなければ生じないようなリスクを負うことになり、山へ入るのに一般には唯一、下界との通信手段となる”電話”にそんなリスクを負わせていいのか?と、私はチョット考えてしまいます。

⑤については、GPS専用機であれば、単純には電源を入れるだけですぐ使用できますが、スマートフォンの場合は、以前ご報告したような”準備”(儀式?)が必要です。
↓ 準備編はコチラ
スマートフォン登山用GPS化計画(「地図ロイド」+「山旅ロガー」(準備編))*第二版/

特に電池の消耗を少しでも減らそうと努力しようとすればするほど、知識と手間が必要となり、はっきり言って面倒臭い。
こういった作業がスキでないとやる気がしないと思います。

しかし、スマートフォンに「山旅ロガー」と「地図ロイド」をインストールしておけば、心強いお守りとなることは間違いありません。
”お守り”という意味を強調してシツコクいうようであれば、震災が生じ帰宅難民となってしまったケース。
家まで歩いて帰りたいが、道が分からない。
通信もダウンしてしまい、携帯がネットに繋がらない。
先日生じた地震の際、このようなケースになった方々は多々いらっしゃると思います。
「地図ロイド」は仕組み上、「国土地理院の電子国土」は、キャッシュ上にしかデータを保存できませんが、「Yahoo地図」データはSDカードに保存することが可能です。
せめて自宅への帰り道を地図データとしてSDカードに保存しておく。
そうすることで、多少なりとも安心を手に入れることが可能です。

スマートフォン登山用GPS化計画(「地図ロイド」+「山旅ロガー」(ログ記録誤差確認))」 に2件のコメント


  1. SECRET: 0
    PASS: d9b1d7db4cd6e70935368a1efb10e377
    初めまして。
    山旅ロガーを使用していますが、GPS専用機は持っていないのでとっても参考になりました。有難うございます!
    家族とのハイキングレベルなのでスマートフォンのみで十分なのが良くわかりました。無駄遣いしなくて済みそうです。


  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    oyamaarukiさん>
    お褒めいただき、ブロガー冥利につきる次第です。
    スマートフォンのGPS機能、意外にイケてました。
    もうちょっと、電池持続力が確認できれば80点?位と思います。
    100点を求めちゃうと、専用機10万円の出費になっちゃいますので、まあ、勿体ないですよね。
    なんとか80点にならないか、更に実験を重ねてみます。
    ツネイチ

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