利尻山山行計画の続き。
今回は、シェラフです。
これは息子にあげない。
今回購入したシェラフはモンベルの新商品で、900フィルパワーを誇る。
フィルパワー値が高いほどダウンの復元力は高く、空気層を厚く確保できる。
結果、復元力が低いダウンと比較すれば、ダウンの封入量を抑えても保温力を確保できる。
特に、”#5”は900フィルパワーシリーズでは最薄・最軽量の商品展開となっており、その特徴は際立っている。
光に照らすとこの通り(縫製方法は「シングル構造」?)。
黒く影になっているのが”ダウン”です。
画像の如く、ダウンの封入量としては”#5”で既にスカスカで、これ以上ダウンを減らすとなると…”エマージェンシーヴィヴィ”と大して変わらなくなるか?
800フィルパワーである”アルパイン ダウンハガー”シリーズでは、”#7”まで商品展開しているのに対し、ダウンハガー900では#5までしかないのが分かるような気がする。
このように実際に封入されているダウンはスカスカ(モンベルはダウン封入量未公開)ですが、フンワリ床に寝かすとこの通り。
流石!900フィルパワー!
それなりにボリュームが出てくる。
外観①
対応気温に関するプリント有り。
外観②
外観③
ハンギングループ有り。
これは、シェラフを乾燥させる為の物干しループ。
生地。
採用されている生地は”バリスティック エアライト”とのことですが、この糸の太さを表示していない。
このバリスティック エアライトには”バイアス・ストレッチ”と呼ばれる特徴があり、独特の織り込みにより、伸縮率が120%ある。
プラス、糸ゴムにより生地は縮まっている。
このゴムの効果により、伸縮率が115%ある。
合計、135%の伸縮率がある、というわけだ。
他、バリスティック エアライトには、”ポルカテックス”による撥水加工が施されている。
*ポルカテックス参考:モンベル | オンラインショップ | POLKATEX® ポルカテックス®
同梱物。
コットン製ストレージバックと乾燥剤。
このストレージバックは荒く薄いコットンの生地で、通気性がよい。
サイズは大体こんな感じ。
並べているザックは、ブラックダイヤモンド「スピード30」です。
ファスナーについて
ファスナー。
両面に引手があり、内外から開閉可能。
ファスナー外側。
フラップ無し。
ファスナー内側。
フラップ有り(ドラフトチューブ?)。
モンベルの説明によると、このフラップには中綿が入っているらしい。
このフラップのある内側については、恐らく、”噛み”防止の為、ファスナーに対してこのような処理を施し、ファスナーを露出させない(ジャムストッパ-?)。
前掲画像はフラップを捲って撮影したもの。
パッと見、止水ファスナーに似てるが、そうではなく、防水性・撥水性は無し。
水は素直に染みていく。
ちなみに、既に所有している”モンベル「U.L.スーパースパイラルダウンハガー #3」(現、「ダウンハガー 800 #3」)”では、ジッパーの構造は同じだが、内外逆になっていた。
つまり、この面がシェラフ内側にくる。
登山用に限らないがスポーツ用ウェアの場合、フラットシーマー等と言って、シャツの生地の繋ぎあわせまで気にする世界。
この縫製により”ごろつき感が無くなる”というものだが、ここまで気にする世界において、エレメント(YKKでは、ファスナーの噛み合わせ部分を、そう呼ぶらしい…)が露出している面をシェラフ内側にもってくるよりは、外側に配した方が合理的か?
このファスナーは、”オートロック・ジッパー”と呼ばれ、”止めたいところでピタッと止まるジッパーを採用”と説明書きを見受けていた。
この状態で、前掲画像の白線の如く引っ張ってもファスナーは動かない。
YKKのホームページを拝見すると、このタイプのジッパーに対する説明として、”引手から手を離すと自動的にロックがかかり、引手を引っ張ることによってロックが外れます。”とあり、スライダー内に何かツメ?バネ?のような構造物が仕込まれているらしい。
ファスナー上端。
ファスナー終端。
三角マチによる補強有り(トライアングルガゼット)。
なお、この終端は腰辺りにある。
”モンベル「U.L.スーパースパイラルダウンハガー #3」(現、「ダウンハガー 800 #3」)”では、足元辺りが終端だった。
足元辺りに終端がある場合、ファスナーを全開にして”掛け布団”みたいな形で使用できたのですが…。
ファスナーを削って、軽量化を優先したか?
後、もう一つ。
モンベル製シェラフの場合、”L⇔Rジッパー”ということで、左右互い違いの開口部のシェラフを用意すれば、シェラフを合体できますよ、というのが特徴の一つであった。
しかし、モンベル「ダウンハガー900 #5」は、右開き(R)のみか?
少なくとも、モンベルのオンラインショップ上では、ジッパーの向きを選択できない。
また、仮にシェラフ合体機能があったとしても、腰上からの合体となり、一つの大きな袋、というわけにはいかない。
スタッフバックについて
付属のスタッフバックは、”テーパードスパイラルスタッフバック”とのことで、伸縮性があるものが採用されている。
シェラフはザック内で容積を占めてしまう道具の一つだが、このスタッフバックは伸縮性により形状を変え、ザック内の空いたスペースに収納可能というものだ。
また、伸縮性がある方が、シェラフをスタッフバックにねじ込む際、都合が良い。
そんな便利な機能を持つスタッフバックですが、私的には”防水性”が無いのが気に入らない。
生地自体は、PUコーティングが為されていると思われ、防水性はあると思う(画像はスタッフバック内側側面)。
スタッフバック内側底面。
しかし、縫目に目止めはなく、ザック内が浸水すれば、ここから水が侵入してしまう。
ダウンの天敵である”濡れ”に対処するべく、スタッフバックを換装することにする。
シェラフと共に買ってきたのは、これらです。
- モンベル「GORE-TEX スタッフバッグ 2L」
- モンベル「コードロック M」
このモンベルのゴア製スタッフバックは、過去に実験しており、その防水性能は信頼できる。
*参考:モンベル「GORE-TEXスタッフバッグ」について(防災グッズ編)
スタッフバック比較。
右がオリジナル。
左がGORE-TEXです。
画像の如く、GORE-TEXの方が一回りほど小さくなるが、カタログデータによると収納サイズは、
φ12×24cm(2.2L)
と、約2Lなので、少々きつめになる位のものだ。
このGORE-TEXのスタッフバックには”コードロック”が付いていない。
コードロックの取り付けは難しくない。
紐の結び目を解いて、コードロックの穴に通してやるだけだ。
最後に結び直して完成。
さっそくシェラフを詰めてみる。
シェラフを畳んで収納はできない。
ケツの方からねじ込んでやるだけだ。
口部分。
完全防水ではない。
しかし、ザックが完全浸水し水圧がかかりでもしない限り、これで間に合うはず。
また、雨中での設営時、シェラフが濡れることに神経質にならずに済む。
完全防水を求めるならドライパックにでもするしかないであろう。
ドライパックではドローコードで口を締め上げることができず、シェラフを圧縮してコンパクトに収納できなくなる。
重量確認。
397g。
重量確認(オリジナル)。
395g。
伸縮性と引き換えに、防水性を手に入れた。
尚且つ、GORE-TEXということで、透湿性も確保。
就寝時、体から出る水分はダウンが吸収する。
その湿気は、多少なりともGORE-TEXのフィルムを通して外へ排出されるであろう。
重量についても遜色無し。
他モデルとの比較
モンベルで販売されている各グレードの#5を比較すると、以下のようなります。
商品名 | 重量 | コンフォート温度 | リミット温度 | 価格(税別) |
ダウンハガー900 | 387g | 10℃ | 5℃ | 35,500円 |
ダウンハガー 800 | 460g | 10℃ | 6℃ | 19,810円 |
アルパインダウンハガー 800 | 430g | 10℃ | 6℃ | 18,900円 |
ダウンハガー650 | 684g | 10℃ | 6℃ | 17,500円 |
アルパインダウンハガー650 | 642g | 10℃ | 6℃ | 15,000円 |
バロウバッグ | 902g | 9℃ | 4℃ | 11,500円 |
アルパインバロウバッグ | 838g | 10℃ | 5℃ | 9,800円 |
- コンフォート温度:一般的に代謝が低く、寒さに対する耐性が低い人が、リラックスした体勢で寒さを感じることなく睡眠ができるとされる温度。
- リミット温度:一般的に代謝が高く、寒さに対する耐性が高い人が寝袋のなかで丸まった状態で寒さを感じることなく睡眠ができるとされる温度。
- バロウバッグ、アルパインバロウバッグの中綿は、ダウンではなく化繊のモデル
今回購入した「ダウンハガー900」は、ずば抜けて高価であり、いかに900フィルパワーのダウンが希少であるかが分かる。
「ダウンハガー900」の次に軽いモデルは、「アルパインダウンハガー 800」。
「ダウンハガー900」との重量差は、僅か47gしかない。
また、対応可能な温度にほとんど変わりはない。
価格差は16,600円と、あと二千円も足せば二つ買えちゃうんですけど…。
売れ筋は、「ダウンハガー 800」「アルパインダウンハガー 800」といったところか?
それよりグレードが落ちると、価格・性能はあまり変わらないのに、重量・サイズの増量は抵抗を感じるほどになってしまう。
私が「ダウンハガー900」を購入したのは、単に、物欲というものです…。
カタログデータ
◎モンベル「ダウンハガー900 #5」
究極の保温性と軽量性を併せ持ち、快適性も極めたフラッグシップモデルです。夏の縦走や秋冬のキャンプなどにも適したモデルです。
【総重量】387g
【カラー】ブルーリッジ(BLRI)
【収納サイズ】φ12×24cm(2.2L)
【コンフォート温度】10度
【リミット温度】5度
【価格】35,500円(税別)(*モンベル「ダウンハガー900 #5」の最新相場はコチラ)
◎モンベル「GORE-TEX スタッフバッグ 2L」
小物や着替えなどを入れるのに便利な丸底デザインのスタッフバッグです。防水透湿性素材のゴアテックス®製。縫い目にシームシーリング処理を施し防水性を徹底させています。
※密閉構造ではないため、完全防水ではありません。
※開口部の締めつけに便利なコードロック(#1124383)は別売になっています。
【素材】ゴアテックス®ファブリクス3レイヤー
【サイズ】φ11.0×28.0
【価格】1,048円(税別)(*モンベル「GORE-TEX スタッフバッグ 2L」の最新相場はコチラ)
◎モンベル「コードロック M」
ドローコードなどに取り付ければ、簡単に締めつけ・開放が行えます。1パック2個入り。φ3mm対応。
【カラー】ブラック(BK)
【価格】229円(税別)(*モンベル「コードロック M」の最新相場はコチラ)