さて。
今回は、ビレイデバイス編です。
ジムで使わせもらったのは、ブラックダイヤモンドの「ATC」だった。
他、ブラックダイヤモンドの「ATC-XP」もあった。
ショップに行き、ビレイデバイスについて相談すると、”私はこれしか持ってないっすよ!”と言われた。
それが、ATCガイド。
上に挙げたATCと同じ機能を持ちつつ、大きく異なるのは、後続クライマーをビレイないし、ロワーダウン(つまり、ビレイヤ-がクライマーより上に居る時の操作)させる機能が付いている。
更には、懸垂下降もできるらしく、一つで何役もこなす。
しかし、これらの機能は私には使いこなすことができない。
興味がある方は、こちらに詳しくあります。
*ロストアロー「【サポート動画】BD ATCガイドの使い方」
ま、多機能ってことのようです。
私がこの道具の使い方を知っているのは、トップロープ時のビレイヤ-に必要な機能のみ。
ロープのセットはこのようにする。
これでもよい。
前掲画像の場合、”ハイフリクションモード”とのことで、制動力が上がる。
*参考:ロストアロー「ブラックダイヤモンド ATCガイドの使用方法」
ハイフリクションモードは、例えば、ビレイヤ-よりクライマーの方が体重が重く、ビレイヤ-が強力な制動力を欲する時や、ロープ径が細い時に有効。
安全環付カラビナについては、スクリューゲートでキーロック式のものがよい、と言われた。
ゲートのロック方式は概ね、
- スクリュー
- マグネット
- オートロック
の三種類に分かれる。
マグネットは、砂利、凍結に弱い。
オートロックは、ロープの干渉によりロックが解除してしまい、ゲートが開いてしまった事例あり。
よって、上記リスクが少ない、ベーシックなスクリューが良い、とのことだった。
キーロック式が良い理由は…、失念。
ちなみに、今回購入した「ロックロックスクリューゲート」は、ブラックダイヤモンド製カラビナでは最もサイズが大きく、ロストアローの説明によると”ビレイ/ラッペル用カラビナ”とされている。
今回は、トップロープ時に行うクライミングの一連の流れ及び、この道具の使い方を備忘録として残してみたいと思います。
ATCをビレイループにセット
まず、カラビナの持ち方から。
このように持つ。
スクリューの操作、ゲートの開閉は親指をもって行う。
また、ATC落下防止の観点から、ATCは手のひらに収めるよう、下に向けて持つ。
↓
ゲートを開き、カラビナをビレイループにセット。
*この際、ATCにハイフリクション・モードが備わっているなら、ATCの向きに注意
↓
ATCの右側の穴にロープを通す。
*ロープを右側の穴に通すのは、シングルロープ時に右手でブレーキの操作をする為。
↓
ロープをカラビナにセット。
↓
スクリューを締め、ゲートをロック。
↓
カラビナを反転。
*ロープが右手に流れるので、ロープがスクリューに干渉しないよう、スクリューが左手にあること。
取り外しは、この操作を真逆に行えばよい。
カラビナ反転
↓
スクリュー解除
↓
カラビナからロープを外す
↓
カラビナを右手で持って、ビレイループから外す。
↓
ハーネスのギアループにセット
安全環付カラビナをギアループにセットする際は、
- スクリューを締める必要はない
- 環付に限らないが、セットする向きのルールを自分で決めておくこと
”セットする向きのルール”を決める、とは、カラビナをループの上から引っかけるのか、下から引っかけるのか?
このルールを決めておけば、手探りでギアループからカラビナを操作する際に間誤付かなくなる。
トップロープ時のクライミングの流れ
トップロープとは、
”予めルート最上部の強固な確保支点に通した確保用のロープにて安全を図りながら登る”
引用元:フリークライミング – Wikipedia
方法です。
ビレイヤ-は、クライマーの安全を確保する役回りになります。
1.まず、安全確認。
お互いに、装備の状況を確認する。
- ハーネス装着状況(正しい向きで装着しているか、ベルトは締めているか、折り返しが必要なバックルの場合に折り返しているか、等)
- ロープセット(ロープはATCをくぐっているか、クライマーのロープはクロッチループとウエストベルト両方くぐっているか、八の字はちゃんと結べているか、止め結びはされているか、等)
- 環付のロック、向き(ロープが干渉しない向きになっているか?)等
等。
また、何か行動を起こす時は、必ず声をかける、かけあう。
クライマーが登り出す時は、
クライマー:よろしくお願いします!
ビレイヤ-:よろしくお願いします!
↓
2.クライミング開始。
ビレイヤ-のロープ操作は、基本的にこのようにロープを持って行う。
左手にクライマーへ続くロープ、右手でブレーキ操作。
ATCは上を向いている。
クライマーが登り出す、ということは、ロープがどんどん弛む。
なので、ビレイヤ-はロープを引く作業をすることになる。
まず、右手のロープ(ブレーキ側)を上にあげ、ブレーキを解除し…、
↓
右手を引く(で、引ききるとロープがロックされる)。
↓
右手を引くと同時に左手を引く。
↓
引いた左手はATCの上端で止まる。
↓
次にロープを引くべく、右手は緩くロープを握りつつ、ロープ上方へ移動させ、ATC下部でロープを強く握って固定。
↓
左手を上部に移動。
これが私が教わった基本動作。
ロープを一度に引けるのは、右手で引ける分が上限となる。
そうでないと、右手を引ききった時にロープが弛み、ブレーキ操作ができなくなる。
ATCの下端の位置は、概ね、みぞおち下位か?
そこから股下位まで引けるので、一度に引けるのは、概ね、25~30cm位がいいところか?
つまり、コツコツと引き続けることになる。
クライマーが登るスピードは意外に早い。
その早いスピードに合わせてロープを引けることが理想的と思うが、焦って、変なロープの引き方をするくらいなら、ビレイヤ-が”ちょっと待って”と、声をかけるとか、クライマーはロープが弛んでいないか気に掛けるとか…。
細かいさじ加減の話しとなるが、この辺りもクライマー、ビレイヤ-の意思疎通が欠かせない。
何かあれば、”声をかける!”。
他、ビレイヤ-の”立ち位置”について注意点。
例えば、こんな感じの位置関係だったとする。
この状態でクライマーが落下した場合、クライマーにはこのような力が働く。
と、同時にビレイヤ-にはこのような力が働く。
つまり、壁に叩きつけられるべく力が働き、バランスを崩しやすい。
現実にバランスを崩し、壁に叩きつけられそうになっても、右手は絶対に離してはいけない。
クライマーへと続いているロープを握っていた左手でもって対処するしかない。
このようにならないようにする為には、この立ち位置になればよい。
支点直下。
しかし、ロープの位置関係でクライミングの邪魔になったり、その他足場の関係で支点直下に居れない場合もある。
そんな時は、前記のような力が働くことを念頭に置いておき、臨機応変で対処するしかない。
なお、ブレーキをかける、とは?
右手を引く。
それだけです。
クライマーが落下した場合、その衝撃はビレイヤ-にも伝わる。
ビレイヤ-に衝撃が伝わる際、ビレイヤ-はその衝撃に耐えるべく、過剰にロープを引いてはならない。
過剰にロープを引いた場合、ビレイヤ-より更に衝撃が加わるクライマーのダメージが大きくなる。
なので、ビレイヤ-はある程度、ロープが引かれるのに体を任せる。
ビレイヤ-に衝撃が加わる瞬間、わざとロープを出したり、ジャンプしたりするテクニックがあるらしいが、今の私はできない。
↓
3.ゴール到着。
ゴールに着いたら、クライマーは”着きました”とコール。
続いて、降ろしてもらうべく”張ってください”とコール。
ビレイヤ-は”張ってください”とコールが入ったら、まず、ギッチギチにロープを張る。
トドメで、ブレーキでロープを握っている右手を、更にATC根元付近までロープを持ち替える。
後、ジャンプして左手で目いっぱい上のロープを掴む。
その勢いで、全体重をかけて両手でロープを引く。
ビレイヤ-は、上記、一連の動作が完了したら”張りました~!”とコールを入れる。
クライマーは、ビレイヤ-からテンション完了のコールが入ったら”ぶら下がります”とコール。
で、クライマーはハーネスに体重を預けてみる。
体重を預けてみて、安定している様子なら全体重をハーネスに預け”降ろしてください!”とコール。
ビレイヤ-は”降ろします!”とコールを入れ、クライマーを降ろす作業に入る。
クライマーを降ろす際は、安定した足場でもって、ブレーキ側のロープを両手で持ってする。
カクカクとぎこちない動きにならないように注意する。
柔らかくロープを握り、細かくロープを動かし、一定の速度でもってロープを繰り出す。
クライマーは降ろしてもらっている最中、肩幅位に足を開き、両足をクライミングボードに乗せる。
あたかも、垂直になっているボードの上を、前かがみになって後ろ向きに歩いている?かのようなイメージ。
このようにすることで、完全にハーネス及び、ロープに体重を預けることになる。
これは、恐らく…。
完全にハーネス及び、ロープに体重を預けることで、荷重は安定する。
安定した荷重は、ビレイヤ-にしてみれば、安定した重みでもってロープが引かれることになる。
ロープの重みが安定していれば、ビレイヤ-は一定の握力でもって、一定のペースでクライマーを降ろすことが可能となる。
ということと、思われます。
着地時では、クライマーが座り込むまでロープを伸ばした方がよい。
なぜなら、クライマー自身の重みでロープは伸びており、立って着地した時点でのロープは復元力により上に伸び、ハーネスが締め付けられ、不快で不安定。
ビレイヤ-は、クライマーが着地後、立ち上がった時点でその役割を完了する。
まとめ
トップロープの場合、クライマーは特に技術的なものは要求されない。
自分のレベルでもって、壁を登っていけばよいだけだ。
ビレイヤ-はクライマーの安全を確保する為、その技術が要求される。
ビレイヤ-が絶対に!してはいけないこと。
それは、ブレーキを操作する右手をロープから離すこと。
ビレイヤ-が作業すること。
それは、クライマーにとっての道具になりきり、クライマーからの指示以外、何もアクションを起こさないこと。
指示以外にビレイヤ-が作業するのは、クライマーがいつ落下しても対処できるよう、一定のテンションでロープを張り続けることのみ。
カタログデータ
◎ブラックダイヤモンド「ATCガイド」
セカンドクライマーのブロック機能を備えた確保、下降兼用のATCガイド。ボディの肉抜き加工により91gの軽量設計。2種類の制動力を選べるデュアルフリクションモードを搭載。
【重量】91g
【カラー】ダークデニム(DM)、プラチナ(PT)、ルビー(RB)
【適合ロープ径】7.7mm-11mm
【価格】3,564円(*ブラックダイヤモンド「ATCガイド」の最新相場はコチラ)
◎ブラックダイヤモンド「ロックロックスクリューゲート」
BDで最も大型のビレイ/ラッペル用カラビナ。広いバスケットエリアがスムーズなロープ操作を可能にします。安全環にはシンプルなスクリューロックを採用。
- ハーネスのビレイループに収まりの良いボトム形状
- わずかにカーブした主軸がゲートオープン幅を最大に
- 引っかかりのないキーロックゲート
【重量】85g
【強度】クローズドゲート=24kN、オープンゲート=7kN、マイナーアクシス=7kN
【ゲートオープニング】21mm
【価格】1,404円(*ブラックダイヤモンド「ロックロックスクリューゲート」の最新相場はコチラ)