今まで使用していた、ペツル「ジプカプラス 2」を息子に譲渡することにした。
そんなことで、ヘッドライトを新調してみた次第です。
さて。
新調するにあたり、私の念頭にあるメーカーは「ペツル」だ。
と、言いますか、若い頃からこのメーカーのライトしか使ったことがない。
と、言いますか、昔はヘッドライトといえば、まともなものはペツルしか売ってなかった。
久々にペツル輸入代理店である「アルテリア」のホームページを開いてみると、各ライトはモデルチェンジされていた。
MIOシリーズは廃版。
買おうと考えていたジプカはシンプルなモデルに様変わりしていた。
シンプルになったな、と感じたのは以下の二点。
- 赤色LED廃止
- バッテリーインジケーター廃止
スペックアップした点もある。
- 光束(ルーメン)が70lm→80lmにアップ。代わりに最大照射時間が5時間減った。
- 機能を削った影響か?重量が71g→68gに減量
以前のモデルまでは、ティカとジプカの違いは極端に言えばバンドだけ、といった感じがないでもなかったが、モデルチェンジ後からは、ティカとジプカの違いが明確になり、ジプカはよりエマージェンシー色が強いライトとなった。
それに対して、ティカは中核をなすモデルとなり、MIOシリーズを廃版に追いやった。
”赤色LEDを削ったか…”
私の場合、赤色LEDの使用時間はともかく、使用頻度は低くない。
赤色LEDを使っているのは行動を停止している時だ。
特に、日の出前に登山口に到着し、準備をしている時だ。
赤色LEDのメリットは”虫が寄ってこない!”
このメリットが使用不能となることに抵抗を感じた私は、ジプカを諦め、「ティカ XP」を選択した。
開封。
質感が変わった。
以前のモデルに比べ、ボディから固い感触は受けない。
以前のモデルは電池蓋を開けるのさえ固く、ちょっと勇気が必要だったが、難なく開く。
本体はマウントに乗っており、角度調節可能。
ヘッドバンドは仕様変更された。
額からこめかみにかけて、直接肌に当たる部分はソフトタッチとなった。
そのソフトタッチ部分に伸縮性はない。
その部分は、前掲画像で言えば”Petzl”マークが入った黒い部分になる。
スイッチも仕様変更。
以前のモデルは、スイッチを押せば、すぐ点灯した。
今回のモデルから、”誤作動防止機能”として数秒間、押し続けないと点灯しない。
コンスタントライティング機能について
ペツルが求める”ヘッドライトの理想形”みたいなものは、恐らく、”リアクティブライティング機能”みたいなものなのであろう。
”リアクティブライティング機能”とは、近くを見る時は光量を落とし、遠くを見る時は光量を上げる。
この遠近をライトが判断し、自動的に光量を調節する。
無駄な光を発しない、というわけだ。
当然、電池消費を抑え、より長く、ライトを点灯させることができる。
ライトを使用し続ければ、徐々に電池は消耗し、ライトは暗くなる。
しかし、この新機能では、一定時間、回路が電圧を調節し自由自在に光量を操り、設定した最大光量は損なわれない。
この最大光量が損なわれない、云わば、”リアクティブライティング機能”の一部とも言える機能が、”コンスタントライティング機能”だ。
”コンスタントライティング機能”の場合、光量の調節は手動でやってくれ、というわけだ。
その為、ティカシリーズに、”ブースト機能”というものが付加された。
この機能は、スイッチを二度押しすることで起動する。
起動すると、10秒間、光束が160lmになる。
例えば、こんなシチュエーションが想定される。
夜間、登山道を歩いている。
その時、電池消費節約の為、ライトは45lmで点灯している。
ふと、判断を迷う場所に出る。
辺りを見渡す。
リアクティブライティング機能であれば、遠方を見渡せば、自動で最大照射に切り替わる。
コンスタントライティング機能では、ブーストモードを手で操作しろ、というわけだ。
45lm時の照射距離は35m。
それが、ブーストモードだと70mと倍に伸び、視認性は上がる。
これら、
- リアクティブライティング機能
- コンスタントライティング機能
を機能させる為、回路が電圧を調整し、又はセンサーで距離を測る。
その分、当然ながら電池を消費する。
つまり、こんな機能はない方が、単純に照射時間は増す。
電池消費に伴い、徐々に光量が落ちながら、ではあるが…。
なお、上記二つの機能を省いたライトの場合、このようになる。
*クリックで拡大表示可。
上の図はペツルで、現在のカテゴリーで言うところの「クラシックシリーズ(スタンダード ライティング)」に関する電池消費と光量の相関性を説明するものだ。
80lmで照射し続けた場合、10時間後には10lmまで光量は落ちる。
半分の5時間後の時点では、グラフから察するに45lmといったところか?
ちなみに、10lmという光量は、ペツルの資料で言うと”ロウソク”と同程度の光量ということになる。
まあ、この位の曲線であれば、許容範囲内といったところか?
しかし、130lmで照射した場合の曲線は尋常ではない。
ものの一時間照射しただけで、光量は半分以下まで落ちてしまう。
その尋常でない電圧低下を抑えよう、というのが、コンスタントライティング機能だ。
*クリックで拡大表示可。
前掲画像は、ティカXPのパッケージ裏の説明書き。
これが一番詳しく書いてある。
スタンダード ライティングの場合、延べ照射時間は80時間に達するが、コンスタントライティングの場合は40時間となる。
しかし、両ライト共、まともに光っているのは最初だけで、最終的には5lmという光量となり、延べ照射時間の大部分を占めている。
コンスタントライティングの場合、延べ照射時間が短くなるのを犠牲に、一定時間一定光量を維持する。
つまり、5lmでの照射時間をバッサリ切り落としている。
なお、”5lm”という明るさは”近く人の顔が認識できる程度”ということで、この状態になることを以前のペツルでの表現では「サバイバルモード」とされていた。
“10lm”でロウソク程度の光量とされているのに、こんな微弱な明かりがどれだけ続こうと、意味は薄いということか?
まあ、薄いと思う。
少なくとも、この明るさで行動するのは難しい。
過去に、この”微弱な明かり”で山を歩いたことがある。
ライト内に入れっぱなしだった電池が自然放電していた結果だ。
この時は、登山道上ですら道はハッキリせず間誤付いた。
”消えないだけマシだろ”位のものだ。
本来、ライトの機能としては、設定した光量を与え続けて当然であろう。
必要があるから、その明るさに自分で設定したわけである。
徐々に暗くなってよいわけがない。
前掲グラフによる80lm時の電池消耗のように、光量を抑えているライトはまだマシだ。
恐らく、もっと明るい光を発する能力を有するLEDにも係らず、余力をもって80lmに設定しているということと思われる。
しかし、余力なく、全開でライトを点せば電池消耗も早く、期待している明るさを維持できる時間は極短となる。
期待している光量を維持できるのが極短になってしまうのであれば、機能を働かせる為に余計に電池を消耗するとしても、コンスタントライティング機能のようなものが出てくるのは必然というものか?
120lmという光量を維持できないなら、120lmという明るさを期待して買う人間は居なくなる。
電池・ライトの能力以上の照射時間が欲しければ、どの道、電池を交換しなければならない。
それなら、コンスタントライティング機能のような特性でもって、一定時間一定光量を維持できる方が合理的だ。
雑談(になってしまった…)
登山において、どれだけの時間ライトが点灯し続ければよいのだろう?
私の個人的な経験で言えば、ライトの使用時間が最も長かったのは富士山ご来光コース。
山頂でご来光を拝むべく、登山口を22:30に出た。
山頂到着は04:30。
日の出は05:00頃。
概ね、6時間半使った。
この間、ずっとライトを点けっぱなしという訳ではない。
例えば、休憩している間は消灯したりする。
「ティカ XP」で言えば、45lmを点灯し続ければよいか?
歩く位置にもよる。
例えば、先頭なのか、中間なのか。
先頭ということであれば、先導役なわけであり、辺りをキョロキョロ見渡すことが多くなる。
そんな時は遠方まで見渡したいので45lmという光量では、ハッキリ言って物足りない。
やはり、最大光量である120lm欲しい。
ということは、「ティカ XP」では連続照射2時間か…。
仮に、電池をリチウム電池に代えたとする。
GPSをリチウム電池で動かすと、アルカリ電池比で言えば稼働時間が約2倍に伸びた経験がある。
これでやっと4時間。
しかし、6時間半には大きく満たず、途中で電池交換が前提か?
ちなみに、リアクティブライティング機能が搭載された上位機種である「ティカ R+」であれば、120lmでの連続照射は3時間半可能だ。
これは、採用されている容量1800mAhのリチウムイオン電池の性能に依るところが大きい。
1800mAhの容量とは、一昔前のスマートフォンで採用されていたリチウムイオン電池の容量と変わらない。
しかし、リチウムイオン電池では、電池入手が容易でない。
専用電池を一本、追加で買って持ち歩くか?
しかし、リチウムイオン電池の自然放電の影響はどうなのだろう?
アルカリ電池と比べれば明らかに劣り、ザックに何か月も入れっぱなし、というわけにはいかないだろうな。
それとも、別売り単四電池サイズのアダプターを買うか?
そうは言っても、富士山に登るのは年に一回あるかないか。
富士山ご来光を最優先にライトを選ぶことはできない。
年一回位の話なら、深く考えず、リチウム電池二回分の6本を山に持ち込めばよい。
私の場合、ライトを使用するパターンとして最も多いのは下山の遅れ。
この場合、遅れる程度にもよるが普通に考えて遅れるって言っても下山時刻で20:00。
どんなに遅くたって、21:00位が想定上の上限か?
これは、計画上はあくまで日没前に下山する計画で、結果、下山できなかっただけの話だ。
下山が日没後の計画は、そもそも立てない。
これ以上遅くなるようなら、日没時点でゴールはかなり遠く、これだけ遅れるということはヘロヘロになっているはずであり、そんなに遠いならツエルトでも被って寝ることを考えるであろう。
つまり、2~3時間。
長くて4時間。
これだけの時間、まともに光ってくれればいい。
しかし、ライトを何時使うかわからない。
つまり、ライトの使用が予定されていないのに係らず、使用することになる。
こんな時、ライトに収まっている電池は大雑把なものだ。
予備の電池は常に持ち歩いているものの、ライト内に納まっている電池は電極に金具が触れているので自然放電してしまっているだろう。
そんな電池、どれだけ使えるか分からない。
でも、予備の電池を持っていれば怖くない。
この予備の電池が重要だ。
保存期間が長いものでなければならない。
私が使用している電池はこれだ。
→ パナソニック「エボルタ」10年保存
この電池なら、相当期間、放置していても性能を維持してくれるだろう。
…なんですが。
この記事を作成するにあたり、パナソニックのホームページを見ていたら、素晴らしい!新商品が販売されているのを見つけた。
これ → 1.5Vリチウム乾電池(FR03HJ/2B)
発売月は2014年06月とのことで、出来立てホヤホヤ!
使用推奨期限は、驚異の15年!
リチウム電池ということで、使用可能温度域は-40~60℃!
正に、登山にうってつけだな。
さっそく、この電池でも買に行くか…。
カタログデータ
『ティカ XP』はアウトドアアクティビティにおける全てのニーズに対応します。複数の照射モードやブーストモード等があり、自分の位置を知らせるための赤色モードや点滅モードもあります。白色光はモードによってビームパターンが切り替わります(ワイド、ミックス、スポット)。
- コンスタントライティング:電池の残量が低下しても、光の強さを維持します
- 複数のモードとカラーがあるので、様々な状況に対応できます
- 4段階の白色光モード
- ブーストモードを使うと、一時的に最大光量を照射できます
- 控えめな光で近距離を照らす赤色光モード
- 自分の位置を知らせるための点滅モード(白色、赤色)
- 電池の残量がわずかになると自動的にリザーブモードに切り替わります(ライトの点滅で知らせます)
- 電池の残量がほぼなくなると自動的に赤色モードに切り替わり、最少光量を保つ状態になります
- 後部のみをストレッチ素材にしたヘッドバンドは、運動中でもずれにくく快適です
- グローブを着用していても操作しやすいプッシュ式スイッチ
- 誤操作防止機能:スイッチのオン・オフには長押しが必要です
【光束】120 ルーメン
【重量】85 g(電池含む)
【保護性能】IPX4(全天候型)
【使用可能電池】単4アルカリ電池3本使用(付属)、リチウム電池使用可能、ニッケル水素電池使用可能
【価格】8300円(税別)(*ペツル「ティカ XP」の最新相場はこちら)