プリムス「114ナノストーブ」+「IP-250U ウルトラガス」について

引退年月:2014.3
使用期間:約3年4ヶ月
引退理由:紛失

今まで使用していたストーブは、MSR「ドラゴンフライ」ですが、単独行の多い私は、

  • 重量
  • 五徳径
  • バーナーヘッド

が気に入らない。
「ドラゴンフライ」は、上に挙げた要素についていずれも単独行には不向きなサイズ。
非力な私は軽量なガスストーブを購入してみた次第です。

私は今までガスストーブを使用した経験がありません。
これは、メーカーごとの専用ガスカートリッジを購入しなければ、この道具を使用することができず、最も躊躇していたのは”中途半端に使用したガスカートリッジの処分はどうするのか?”。
貧乏性の私は、中途半端なガス残量のカートリッジに穴を開け、廃棄するということに抵抗を感じておりました。

よくよく調べてみると、中途半端に使用したガスを別カートリッジに移すアダプターが販売されている様子ですが、日本の法律では”ガスを別容器に移す”という作業を個人が行うのは違法な様子。
結果、ガソリンストーブを購入した訳ですが、それは私が30歳そこそこの頃の話です。

私は金持ちではありませんが、今や40歳を過ぎ、中途半場に使用したガスカートリッジを廃棄しても金銭的な痛みはない。
なにより、MSR「ドラゴンフライ」を持ち歩くことを考えれば、ガスカートリッジを2本持参しても重量的に差ほど変わらないことに気付いてしまいました。

そんな金銭的なことより、30歳そこそこの頃から比べれば著しく低下した我が体力を補うべく、今回、軽量なガスストーブを購入した次第です。
そんなことで、今回、ガスストーブを購入するにしてもその商品に対して大した知識の無い私は、登山用品店に出向き、棚に並べられている様々なガスストーブを見渡すと、”世界最軽量”とのキャッチコピーに目が留まる。

これが、プリムス「114ナノストーブ」を購入した経緯です。

なお、プリムス「P114ナノストーブ」の特徴は、先にも述べました「世界最軽量」というのが最たるものですが、他、バーナーヘッドに「MFMM(マイクロファイバーメタルメッシュ)」と呼ばれる技術が採用されています。
2010.12.20.4

一般的なガスストーブのバーナーヘッドと比較すれば、そのサイズは極小です。
ヘッドセンターは”マイクロ・ファイバー・メタル・メッシュ”なるメタルファイバーで織り込まれたもので、多孔性があるとのこと。
この仕組みは、繊維の隙間からガスが噴出する。

つまり、バーナーヘッドセンター付近は最も酸欠気味になりやすい場所となりますが、繊維の隙間から噴出するガスは密度の濃いものとなり、酸欠気味においても一定の火力を維持する。
また、一度加熱されたメタルファイバー製の繊維は、真っ赤に加熱され、瞬間、炎が消えたとしてもガスが噴出している限り、真っ赤に燃えたメタルファイバーによりすぐさま着火し、この仕組みは防風性能にも寄与しているものと思われます。

実際燃焼させるとこうなります。
2010.12.10.5

その炎は横へは広がらず、真上に立ち上がる。

ちょ~、強力です。

MSR「ドラゴンフライ」との比較(重量)

まずは結果から。

MSR「ドラゴンフライ」。
2010.12.20.2 691g

計量時の状況は、

  • 燃料は所定の位置まで満タン
  • 燃料タンクにポンプ設置済

プリムス「P114ナノストーブ」
2010.12.20.3 422g

計量時の状況は、圧電点火装置脱着済です。

その差は269gと歴然で、大満足です!

MSR「ドラゴンフライ」との比較(炎の形状)

まず、これからお話しする内容は、単独行が多い私が使用するということが前提です。

「ドラゴンフライ」では”炎の輪が大きすぎる”。

これは、単独であれば使用するコッヘルは600~900cc位がせいぜいで、このサイズのコッヘルの底面は狭いです。
狭い面積へあてるにしてはドラゴンフライの炎の形状は大きすぎ、炎の外輪はコッヘルの外周を大きくはみ出し、バーナーヘッドセンター部分から炎は出ず(プレートが加熱され真っ赤にはなりますが…)加熱の用を成さない。

反面、ナノストーブについては先ほどの画像のとおりですが、炎がセンターに集約され、無駄がない。
これは、熱伝導的にどちらが効率的か…。
述べるまでもありません。
クドイですが、”単独行”の多い私が使用するのが前提での話です。
多人数で行動し、デカいコッヘルを使用する、ということであればむしろ、ナノストーブでは炎がセンターに集約され過ぎ、コッヘルセンターが”焦げる”可能性があります。

実調

ガスストーブは低温に弱いとのことで、冬期用のガス、「IP-250U ウルトラガス」をセットでナノストーブを山へ持込み、使用してみました。

◎第一回(日本百名山「浅間山」)

  • 標高:2450m付近
  • 気温:-1.6℃
  • カートリッジ下:土
  • 水:500cc

結果:問題無し。

◎第二回(日本百名山「蓼科山」)

  • 標高:2350m付近
  • 気温:-5.8℃
  • カートリッジ下:凍った木板
  • 水:850cc

結果:問題無し。

この時は、沸騰してこぼれた湯がバーナー本体にかかってしまいました。

それを放置していたところ、気化熱により湯が冷却されたのか?バーナー本体とカートリッジの接続部分がガチガチに凍る、という現象がありました。

↑ 追記(2012.2.9)
上記、耐寒性能の実験について一部訂正します。
新品のガスカートリッジであれば上記のように正常に使用できますが、中途半端に使用したガスカートリッジについてはこの限りではありません。
これは、ガスカートリッジ内の”プロパンガス”の残量により耐寒性能は大きく影響され、その残量次第で耐寒性能は著しく低下します。

気になる点

1.ネットで調べると「プリムスの圧電点火装置はすぐ壊れるので有名」

その関係か?収納袋内に100円ライターが程よく入る小袋が縫い付け済。

ただし、愛煙家の私はもともと圧電点火装置は取り外すことを前提で購入しているので解決済。

2.火力調節ノブが小さく、調節幅がシビア

火力調節用のノブがバーナーヘッド直下に設けられています。

そのノブの突起は小さく、とろ火~最大の火力調節は5mm位の回転幅で調節することになります。

ちょっとイメージしてみてください。

五徳の上ではコッヘル内の水がグツグツと沸騰しており、湯が飛び跳ねている。

コッヘルが乗っているが故に、ガスカートリッジに挟まれ、極端に狭くなっている火力調節ノブへ指を差し込む。

その指のすぐ上ではバーナーが炎々と燃えている。

そんな、すぐに手を引込めたいような場所で、とても小さいノブを5mm幅位の範囲でもってチビチビと火力を調節しなければならない…。

最初は怖かったです。

でも、今では慣れました。

つまり、”慣れ”が要求されます。

3.純正品で”パワーチャージャー”が販売されていない

ガスストーブということで、燃焼する為にはガスが気化しなければなりません。

水であれば沸点は100℃から。

プロパンガスは-42℃から。

イソブタンは-12℃。

ブタンガスは-0.5℃。

それぞれのガス成分により沸点が異なりますが、例えば、ブタンガスを-2℃の環境で使用しようとすれば、当然ながらガスは気化せず使えない。

では、+2℃の環境で使用した場合、気化しますので使用できますが、そのままガスを放出しつづけると、ガス缶が気化熱により冷え、-0.5℃に限りなく近づき、気化する勢いは衰えパワーダウン(ドロップダウン)してしまう。

パワーダウンを抑える為の道具として、”パワーブースター”というものがあります。

この道具は棒状になっており、棒の一方をバーナーの炎にあて、もう一方をガス缶に張り付ける。

自ら発した炎の熱をガス缶に伝え、ガス缶を温める。

結果、気化熱の影響によるガス缶の冷えを抑える。

そんな役割りなのですが、日本のガスに関する法律によると、人為的にガス缶を温めるのは違法の様子(恐らく、シチュエーション・使用方法・ガス成分によってはガス缶の内圧が極端に上がり危険な為)で、結果、そのような違法行為を助長するような道具をメーカーとして販売していない様子。

ま、この辺りが気になるようであれば、軽量化を犠牲にして、ジェットボイル、若しくは”液だし”という選択となるんでしょうかね~。

カタログデータ

本体重量51g(圧電点火装置除く)を実現した超小型バーナーです。付属の圧電点火装置は必要に応じて着脱可能です。バーナー部には風に強いMFMM(マイクロファイバーメタルメッシュ)を採用。ブレードタイプのゴトクは一点に集約して収納可能。延長ゴトクも標準装備しています。

【出力】2.7kW/2,300kcal/h(T型ガス使用時)
【ガス消費量】150g/h
【燃焼時間】約90分(IP-250ガス使用時)
【ゴトク径】大120mm/小80mm
【収納サイズ】5.5×7.7×2.8cm(本体のみ)/6.5×7.7×2.8cm(圧電点火装置装着時)
【重量】本体51g+圧電点火装置部13g
【価格】7140円(税込)(*プリムス「P114ナノストーブ」の最新相場はコチラ

プリムス「114ナノストーブ」+「IP-250U ウルトラガス」について」 に2件のコメント


  1. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    そして、100名山の1つ、大普賢岳に先週末行ってきたので、思わずコメントさせていただきました。
    これまで、母のストーブを借りたりしていたのですが、先日初めて買ったストーブがP114Fサクラです。
    『ピンク・・・可愛いけど、山ガール気取りっぽくて、こっぱずかしい』と思いましたが、『展示品なので割引できますよ』と言われ、つい(笑)
    大普賢岳は、Hogってて眺望ゼロでしたが、和佐又からの道は道が楽しく、大普賢岳から200名山の八経ヶ岳までは、シャクナゲ・テンナンショウ(しかも群生していました!!)・ヤマシャクヤクと見どころ満載でしたよ。


  2. SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    転倒虫さん>
    ピンクですか・・・。
    色がチョット付いているだけなのに定価が高い設定になっているんですよね。
    でも、”安くなる”と言われたらウケ狙いで買っちゃうかも?
    大普賢岳。
    行ってみたいですね~。
    吉野古道ひじょうに興味あります。
    まあ、私の場合、紀伊半島へ行くということは、登山というよりは旅行という範疇になってしまうので、”行く”と家族に告げるのに少々勇気がいりますが・・・。
    時期をみてチャレンジします。

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