登山ブランク前のある夏の日のこと。
西丹沢「檜洞丸」を登頂し、大石キャンプ場へと続く下山路を歩いていました。
当時、30歳そこそこと、若かった私ではありましたが、単独で西丹沢半周コースに挑んでおり私の体力では手に余るロングコース。
何時果てることもなく繰り返される尾根のうねりの波に私は呑まれそうになっており、結果、足腰フラフラ、トレッキングポールにもたれながらも足が上がらず半歩づつ歩を進めていました。
平日、夕方の西丹沢「檜洞丸」。
こんな日のこんな時間にこの場にいるのは私のみですが、心身共にズタボロになった私は誰に見られるわけでもないのですが、我ながら情けない。
ハッキリ言って、もう歩くのも面倒クサく”あ~、ここに泊っちゃおうかな~”と、そればかり考えながら歩いていました。
しかしながら泊るっていったって余分に身に着けるものといったら”カッパ”位。
いくら夏とはいえ、少なからず標高1000m以上の森の中にいるので”こんな場所でカッパ着込んだくらいで寝たらさぞ寒いだろう”と歩き続けました。
結果、無事下山。
しかし、装備の不足を痛感されられた単独行の多い私は、本当に、本当に、本当に・・・、歩くのがイヤになったら山で泊まれるよう購入したのが”ヘリテイジ「エマージェンシーツェルト」”でした。
そんなことで、このツエルトを購入したのは概ね10年前のことですが、このツエルトを購入したポイントはこれ。
ん?260g?カタログデータでは250gのはずでは?
収納袋を外して再計量。
256g。
当時、カタログデータ上”世界最軽量”でした。
サイズについては冒頭の写真にISUKAのゴアライトスパッツを並べて撮影していますが、この通り小さいです。
素材について、説明書きでは難しそうな感じで長くなっていますが、簡単には”新品の傘”をイメージしてください。
実際に雨が降れば素材表面の撥水処理により、水を弾く機能はありますが”防水”ではありませんので、しばらく雨が降り続ければ、素材は濡れますしその濡れた素材に衣料が触れれば服も濡れますので、雨が降った場合は”カッパ”と併用して対応することになります。
もっとも、底部分は簡単に開く構造になっているので、雨が降った際にツエルト内に居るのであれば、底から簡単に水が浸入します。
そういう意味でも雨天時の使用はカッパと併用することになります。
私の場合、基本、日帰り登山なのでツエルトの使用について”積極的”ではなく、あくまで”消極的”使用が前提です。
何しろ消極的なので、ツエルトを広げたことがあるのは過去3回ほど。
その他、必要な付属物は自作の”エマージェンシーセット袋”内に申し訳程度で細引き10mが納まっているのみ。
え?「実際使う時はどうするんだ」って?。
私が考えていた使用方法は単に”被る”。
それのみです。
そんな私でしたが、先日のこと。
ファイントラックのホームページでツエルトコーナーを見ていると”インプレッション”が掲載されている。
内容を拝見すると、いかにファイントラックのツエルトの透湿性が優れているかの宣伝なのですが、その記事の文中で私の目を引いたのが「細引き加工」の必要性でした。
要するに”最初からツエルトに細引きをセットしておけ”ということです。
私の場合、船釣りでの経験上”ヒモを結ぶ”という行為には少々自身がある。
しかしながら”トレッキングポールを利用して果して上手く設営できるか?”。
これはやったことがないので自信がない。
と、いうことで、まずは細引きを購入すべしと”細引き”についていろいろ調べてみると、灯台下暗し、ヘリテイジで最高の細引きを発見しました。
それが、これ。
で、ライン。
*注意点:同様のパッケージで「テント用」があります。こちらはラインの長さ・数がが2.5m×4になってしまいます。
この”ヘリテイジ「スーパーガイラインセット」(ツエルト用)”。
なにが最高かと申し上げますと、ラインの構造が2層になっており、外皮はポリエステルですが、芯に「ダイニーマ」を使用している。
ダイニーマ・・・。
船釣りから暫く離れていた私は久々にこの名詞を目にしました。
船釣りにおいて、道糸(リールに巻く糸)はPEラインが主流でありその代表格が”ダイニーマ”。
*ダイニーマ詳細→http://www.toyobo.co.jp/seihin/dn/dyneema/index.htm
その特徴は驚異的な引張り強度にあり、水中においてほどんど水を吸わず、結果、ラインを細くできる。
ラインが細くなることにより、海流の影響を受けづらくなり、魚のアタリもとりやすくなる・・・。
その分、高価なものなのですが私の場合、船釣りにおいて使用する道糸は”ウルトラ”ダイニーマであり、絶対の信頼を置いているものです。
脱線してしまいましたが・・・。
密かに”なんで登山用品でダイニーマを利用したものがないんだろう?”と一人思っておりましたが、ここに見つけました。
上でクドクド”ダイニーマ”について説明しましたが、このヘリテイジ「スーパーガイラインセット」のラインはダイニーマの特徴を生かし径2mm。
一般的な細引きの径は3mmです。
当然、細い、軽い、小さいといいことづくめです。
なお、セット内に”自在”も含まれておりますが、径が2mmゆえに一般的な”自在”は使用できません。
で、さっそく、ツエルトにセット。
で、収納しようとすると、元々サイズがピッチリだったこともあり入らない。
已む無く、0.5Lのスタッフバックを別途用意し収納。
で、計量。
300g。
張り綱5m×2、自在×4をプラスしてこの重量であれば大満足。
ツエルトセットを収納しきれず、スタッフバックを0.5Lのものに交換しましたが、だいぶユトリができました。
これは、元の収納袋だとピッチリ過ぎていて現実に雨で濡れたら収納できないな、と、思っていたのでこれはこれで、必要な交換と思います。
とりあえず、準備としては完了しましたが・・・。
機会をみて実地で設営を試してみたいと思います。
*後日、細引き加工追加しました → ヘリテイジ「エマージェンシーツェルト」について(細引き加工その2)
*ツエルト設営方法考察記事はコチラ → ヘリテイジ「エマージェンシーツェルト」について(設営方法考察)
カタログデータ
【素材】本体:30/15Dナイロンタフタ・アクリルコーティング
【重量】250g
【カラー】レスキューオレンジ
【価格】11,500円 (*ヘリテイジ「エマージェンシーツェルト」の最新相場はコチラ)