丹沢「畦ヶ丸」(本棚高巻きコース)

山行記録

◎2011.2.16(Wed) 天気:晴れ後曇り 気温:-1.1~9.1℃

◎コース:07:45西丹沢自然教室-08:36権現山分岐-08:48下棚-09:19本棚-10:37P911-13:21畦ヶ丸-16:03権現山旧登山道出合-16:52権現山分岐-17:26西丹沢自然教室(行動時間:9時間41分)

◎標高差:752.6m

合計距離: 9358 m
最高点の標高: 1285 m
最低点の標高: 432 m
累積標高(上り): 1123 m
累積標高(下り): -1016 m

先日、”厳冬期低山”ということで「毛無山」へ登ってきましたが、私がよく知る西丹沢の”厳冬期”っぷりはどうかと、”ヤマレコ”で”本棚”をキーワードで検索してみると、私の知らない未知のルートで登っている強者を発見。
本棚手前の尾根を経由して、本棚を高巻き、本棚上部に出て、そこから畦ヶ丸へ向かうルート。
当然ながら、地図にはなんのルートも示されておらず、地図で尾根を拾うというなんとも冒険心にあふれるこのルートに魅了されてしまった私は、今回単独ということで多少の冒険でも誰に迷惑をかけるわけでなく、また、かけられるわけでもないので、いい機会と思い今回挑戦してみることにする。
打算的には、今回の最大標高差は752.6mなので万一尾根を間違えても尾根を登り返す余力はありそうだな、と、いうところです。
出発前夜は私にしてはめずらしくなかなか寝付けず、睡眠時間2時間程。

2日前に横浜でも雪が降っていたので、ノーマルタイヤということもあり、まずは駐車場まで無事到着できるか心配でしたが、無事、西丹沢自然教室駐車場に07:14到着。
西丹沢自然教室駐車場

時計の気温計で、-1.1℃。
ぼちぼち準備して出発。

07:45 西丹沢自然教室

吊り橋

西丹沢自然教室~本棚までの登山道は、私のお気に入りルートです。
西丹沢全般に言えることですが、頂上まで登っても眺望がきかないせいか?登山者は少なく、最初の堰堤がある広い河原は登山靴を履かない者の侵入を拒み、傾斜が緩い沢沿いのルートで、最後に迫力ある本棚に辿りつく。
実に気分の良い道です。
特に、今回はトレースもまったくなく、雪面に私の足跡を刻む。

点景①
点景①

点景②
点景②

点景③
点景③

点景④
点景④

08:36 権現山分岐

権現山分岐

ここまでの登山道上に掛かっている橋は全て流失しておらず、問題なく沢を渡ることができた。
なお、積雪状況は登山靴が埋まる位。

まずは”下棚”へ向う。
点景⑤

08:48 下棚

下棚

あいにく、下棚は凍っておりませんでした。
次は、本棚。

09:19 本棚

本棚

本棚もほとんど結氷しておりませんでした。

で、ぼちぼち、本題のバリエーションルートへと向う。
まずは、P911への取付点を探す。

取付点
P911取付点
↑ 追記(2011.12.16)
上記画像記載の赤ラインでも登れるは登れますが、尾根直登になり苦労します。
写真左手奥に進むとP911へと続く踏み跡があるとヤマレコ有志の方からご教授いただきました。
なお、私自身は本ルートを再訪しておりませんので、その”踏み跡”を確認してはおりません。

この斜面。
下部はまだ立って歩けますが、10分程登ると岩、木、木の根を頼りに登ることになる。
斜面に雪が付いており、その雪は湿雪。
持ってきたアイゼンはモンベル「チェーンスパイク」だったのですが、足裏に雪ダンゴができ、爪も”土”まで食い込まず、まったく役に立たない。
手足の置き所もかなり限られており、かつ、雪で斜面が隠れているので、手掛かりを探すのに苦労しつつ、”あ~、ピッケルがあったらな~”と、ピッケルを使ったことがない私は、必要性を痛感しながら、黙々と登る。

本棚上部まで登って、ようやく一息つくことができる。
本棚上部

本棚上部続き
本棚上部続き

本棚上部を眺めつつようやく傾斜が多少緩くなりましたが、その代りに積雪量は増加。

基本スネ位。
積雪量(スネ)

10:37 P911

P911

ようやく”P911″に到着。
しかし、ここまでの道程の斜面でかなり体力を消耗させらた。
前掲写真は、”畦ヶ丸”へと続く尾根です。
道状にはなっている。
なお、下棚へ行った際、そちら側の尾根から”P911”へと向かう登山道状のものを発見していました。
その取付きはトラロープで仕切られておりますが、本棚側から取付くより楽そうな雰囲気を醸し出しています。

P911で一服入れておりましたが、そうノンビリもできないので、ぼちぼち畦ヶ丸へと向かう。
積雪は更に増し、概ねスネから膝位。
相変わらず雪が湿っており、雪から足やストックを抜くと、オマケで雪がプレゼントされます。
プレゼントの雪は、足の甲上部や、ストックのスノーバスケット上部に10㎝ほどくっついてき、ボリュームがある。
尾根の傾斜状況は、歩きだしこそ平坦な部分がありますが、少し歩くと急登となる。
平坦な部分は、雪のプレゼントにより思うように足が前に出ず、急登部分は、一般登山道でいえばロープ、クサリが付くような傾斜で、キックステップをイチイチきって登ることになります。

更に進み登山道である稜線に乗ると、更に積雪が増す。
積雪量は概ね、膝から腰位。
ストックで上体を安定させて、膝で雪を潰し、その上に足を乗せる…。
これって、知識としては知ってましたが、やるのは初めて。
しかも結構大変…。
特に痩せた尾根上が積雪量がヒドイ。
雪庇状になっており大抵腰位まである。
足場が雪に隠れよくわからず、ストックでガシガシ触診しながら通過する。

腰まで積雪している雪庇状
雪庇状

13:21 畦ヶ丸

畦ヶ丸頂上

時計の気温計で、9.1℃。
ようやっと山頂到着。
P911からここまで、3時間弱もかかってしまった…。

途中でバーナーを出す適当な場所もなかったので、ようやく飯にありつく。
山頂到着時は晴れてましたが、のんびりしてると曇りだす。
時計の気温計を確認すると4.0℃と気温が下がりだし、”早く行け”と天気が私を急かす。

重い腰を上げて、ぼちぼち出発。

14:04 畦ヶ丸頂上出発

下山口

下山は権現山へと続く稜線を利用する。
取付きは上記写真のようにテーブル裏の藪へ漠然と突入します。
広い尾根なので、わかりずらいですが、右めへと寄ってゆくとけもの道?状のものを発見することができる。

けもの道?
けもの道

動物一頭が通り抜けられるような感じで、熊笹が生えてません。
そこを突き進みます。

この権現山へと続く稜線は、この先痩せ尾根が続出します。
下調べでそのようになっていたので覚悟してましたが、それにしても痩せた尾根が雪で隠れると結構デンジャラスです。
で、痩せ尾根に限って雪庇状に雪がガッツリ積もっている。
そこをストックで、隠れている土を”触診”しながら慎重に渡ってゆきます。

ヤセ尾根
難所①

ヤセ尾根もういっちょ!
難所②

更にヤセ尾根!
難所③

最後のヤセ尾根
難所④

これが本日最大の難所です。
尾根が最もやせ細っている上に、尾根入口部分に倒れ掛かった木が引っ掛っていて、いまにも崖下へ落ちそう。
更にその先は、痩せた尾根上に尖って雪がついており、足場の形状がまったく予想できない。
手掛かり、足掛かりも全て雪が隠しておりどこに手足を置いてよいやらさっぱりわからない。
当然尾根の両面はザレ切りっており、落ちたら最後50mはいっちゃいそうです。
どうしようか迷いましたが、取りあえず腹這いになり、足を木の根に置いてみる。
落ちそうに見えた木は、意外にしっかりしており木に抱き着く。
木が落ちそうになっている斜面と反対側斜面の雪に隠れている木の根もとを足で”触診”してみると空洞になっていて足を置くことができたので、ここで体を方向転換しようやく頭を権現山方面へ向けることができる。
その後、尾根を馬乗りになり、なんとか渡ることができました。

16:03 権現山旧登山道出合

権現山旧登山道出合

ようやく”旧”登山道にでる。
この道は現在、廃道になっておりますが私は過去に何度か歩いたことがあり、ようやく精神的に安心できるところまで帰ってきた。
当初は権現山頂に立寄ろうと考えておりましたが、既に16時ということもあり断念し下山する。

権現山”旧”登山道上
権現山登山道上

下山路の積雪は概ねこんな感じでした。
登山者がいた様子でトレースもしっかりしており、なにも考えずこのトレースを追う。

16:52権現山分岐

17:26西丹沢自然教室

橋

無事、帰還。
なんとかヘッドライトのお世話にならずにすむ時間に到着できました。
出発前の私は、”昼過ぎには下山できるだろう”と考えておりましが、甘すぎた…。

しかし今回のこの山行。
考えされられることがいっぱいありました。
結論を先にいえば、私の技術・経験・体力・装備いずれもおおいに不足してました。
体力でいえば、苦労させられたのは”ラッセル”。
本格的なラッセルは”初”だったので、想像以上に大変なのが理解できました。
特に、畦ヶ丸直下の稜線に乗ってから山頂まで259mを22分かかっている。
また、尾根を間違えた場合、登り返せばイイやと思って挑みましたが、結果的にはそんな余力はありませんでした。

装備でいえば、前爪付きのアイゼンとピッケル。
この道具は使い方を心得ているに越したことはありませんが、今回は本能的に欲しくなりました。
反省が大分多くなってしまいましたが、このルートをやりきったのは個人的には大きな自信になりました。

しかし…。
このルートを再度歩く機会がある時は、雪が付いてない時にしておこうと思います。

本日は寄道せず帰宅。

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