新田次郎氏著「栄光の岩壁」について

先日購入した山と渓谷を読み進めると芳野満彦氏の訃報が掲載されていました。
今回は、芳野満彦氏をモデルとして執筆された新田次郎氏著「栄光の岩壁」について、私ごときがおこがましいですが、ちょっと一言だけ述べさせていただきます。

私がこの本を手にしたのは14~15年前のことです。
当時の私は山の魅力にはまりつつも登山というものに対して正規?の知識・経験は全くなく、ただただ山を歩くというものでした(今でも左程変わりませんが)。
なんせ、赤ちゃんみたいなものなので何も知らず知識が欲しい。
その知識の仕入元の一つが新田次郎氏著作群でした。

私がこの場でわざわざ述べるまでもなく、同氏著作群中、代表作として「孤高の人」「栄光の岩壁」「銀嶺の人」と、戦前から現代(当時)までの近代登山の系譜を描き、30歳頃の私は熱中し、何度も読み返していた記憶があります。
「栄光の岩壁」主人公は芳野満彦氏がモデルの竹井岳彦です。
私は芳野満彦氏のことは良く存じ上げませんが、竹井岳彦のことは良く知っています。
頑固で我儘で純粋。
「足でない足」を持つチャレンジャー。
「足でない足」を持つが故の劣等感持ちで弱いところがある。
ストーリーは”こんな生き方できたら幸せかも?”と思わせるものがあります。

「孤高の人」主人公の加藤文太郎は、完ぺきなヒーロー。
「栄光の岩壁」主人公の竹井岳彦は、完ぺきではない。
そんな完ぺきではない竹井岳彦の方が私は好きで、私にとってはヒーローです。

この度、竹井岳彦がご永眠されたとのこと。
心より、ご冥福お祈り申し上げます。

ご興味がありましたら読んでみてください。
216-1.jpg  *「栄光の岩壁」上下巻

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